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「あ、えっと…」
皆が部屋を出て行く中、ブランはどうしたものかとまごまごしていた。すると、不意にブンという音とともに、ブランの周囲にドーム状の光の膜が張りめぐらされた。
「ここに残ってシスターの負担になることもないだろ。あたしが責任持って守ってやるからついてきな」
戸口にいたアリッサは、そう言い残すと玄関の方へ行ってしまった。先ほどの光のドームはアリッサがブランに結界を張ったのだ。
「ブラン様、早く行っておあげなさい。結界は術者の近くにあった方が術者の負担が軽くなりますから。大丈夫、それだけ強力な結界ならちょっとやそっとじゃ破られませんわ」
シスターにうながされ、ブランもアリッサの後を追う。
館内はかけ回る騎士達で騒然としていた。
「ありったけの弓を運ぶんだ!!」
「残ってる者がいたら地下会議室へ非難させろ!!」
「おい、先に通すんだ!!」
「表で負傷者だ!!誰か手をかしてくれ!!」
どうやら建物内には、あまり人は残っていないようだ。ブラン達が玄関に行くまで、騎士の他に見かけたのは、地下への階段をかけおりていく数人の料理人達だけであった。
「うわぁぁぁ!!」
ブランとアリッサが玄関の外へ出たときに見たのは、世にも恐ろしい光景だった。急降下してきたワイバーンの鋭い爪に胴体を捕まれた護法騎士の一人が、そのまま空高く持ち上げられ、いきなり投げ捨てられたのだ!!
グシャという金属と肉がつぶれるイヤな音がし、その騎士は一瞬で帰らぬ人となった。
「もっと火を持ってこい!!」
食事中だったため、礼服のままのスナイダーが、抜きはなった長剣を片手に部下に命令をくだしている。しかし、いくらかがり火を増やしたところで、夜の上空を飛ぶ敵を照らすのは難しいだろう。
先に来ていたダラスが、何か呪文を唱え終えたようで、両手を空に向かって突き上げた。すると、彼の頭上に巨大な光球が現れ、瞬く間に上空へと登って行った。
光球に照らされ、あたりは昼間とはいかないまでも、かなりの明るさとなった。上空にいた二匹のワイバーンは、ダラスの光球を嫌がるように、今までよりもやや低い位置を旋回していた。アリッサは、ワイバーンのその動きを注意深く観察している。




