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「何だ今の声は!?」
ウォルターが席から立ち上がる。一同にさっと緊張が走る。
「ウォルター様っ!!」
扉が荒々しく開かれ、一人の護法騎士が部屋に飛び込んでくる。
「何事だ!!」
ウォルターが鋭い声で返事をする。
「緊急事態であります!!魔物の襲撃です!!」
「ヒィィ」
ハートストンが悲鳴をあげる。すでに皆は席を立ち入口付近に集まっている。
「うろたえるな!!魔物の数と種類は!?」
上司であるスナイダーに叱られ、騎士は慌てて報告を続ける。
「はっ!!ワイバーンとおぼしき翼竜二体が上空より来襲!!ただ今、正門付近にて我ら騎士団と交戦中です!!」
「ワ、ワイバーン…」
ブランは、ワイバーンを見たことはない、ましてやその上位種であるドラゴンなどは、はるか遠い世界の存在だ。
「敵は、暗闇に乗じて空中から攻撃をしかけてきており、我らは苦戦しております!!」
「ありったけのかがり火をたくのだ!!それと、弓を準備しろ、さあ行け!!」
スナイダーが手早く命令をくだす。騎士はあわてて部屋から飛び出していく。
「クキェェェェェ!!」
再び不気味な魔物のなき声が響き渡る。
「ダラス殿いかがいたせばよいかな」
ウォルターは、すでにうろたえているハートストンではなく、ダラスに意見を求めた。
「はい、シスターとハートストン殿はここに残り、ウォルター様を守っていただき、わたくしとアリッサ様、ブン・ラッハ様でワイバーンにあたるのがよいかと」
「うむ、ではそうしてもらえるかな」
彼らのやりとりを聞くが早いかシスター・サリサは、手を組んですばやく聖句をとなえた。すると、彼女の周りの床に光る円陣ができ、そこからまばゆい光がほとばしる。
「ウォルター様、こちらへお入りください」
シスターが使ったのは、「聖域の術」であった。アリッサやダラスが使う「結界」に近い術法で、魔物や呪的な攻撃から中にいる者を防護することができるのだ。これを使えるのは、聖職者に限られており、特に不死族に対しては強力なバリアとなる。
「さ、先生」
ヒルダに促され、ウォルターが聖域内に入り、ハートストンがその後につづく。
「それじゃあ行くとするかね」
アリッサが、全く動じた様子も見せず、戸口の方へ体を向ける。




