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「お前、遅いぞ〜!!」
「やだ、眼鏡ズレてるし。走ってきたんでしょ〜」
ブランが、居酒屋『夜夢』の店内に入ると、入口近くの四人掛けの席にいる男女から声がかけられる。彼の幼なじみのナップとミネルバである。
二人はすでに、お通しをつつきながら、一杯目のビールと果実酒を飲んでいる。
「ごめんごめん、ちょっと仕事が終わんなくて」
「なんだよ、やっぱ民間は大変だな」
ナップがおどけた口調で言う。
ナップは護民騎士団の見習い騎士、ミネルバは国立保育園の保育士、ブラン以外の2人は、専門職とはいえ公務員なのである。
「そうそう!!そういえば、アリッサさんの占い、かなり当たるんだってね〜」
ブランが席についた途端、ミネルバが話の口火を切る。
この三人で飲むと、必ず一回はアリッサの話題が出てくる。だいたいは、ブランがアリッサにひどい目にあった話を他の二人が楽しむというパターンなのだが、今日は少し話の方向が違うようだ。
「うん。まあ、僕自身が占ってもらったわけじゃないけど、評判いいみたいだね」
「でしょでしょ!!それがさ、こないだうちの主任も結婚運見てもらいに行ってきたんだよ」
「え?ミネルバの保育園の?」
「そうなのよ、結果は教えてくれなかったんだけど、すごく当たってたって」
「そっか…」
ブランは、せっかくの飲み会だが、仕事の延長で話をしているような気分になってきていた。
「まあ、あのばあちゃんが、鋭い顔でビシッ!!と何か言ったら、それだけで説得力あるもんな」
ナップが、妙に納得した顔でうなづく。
ナップは、ブラン同様、キリー村の事件で、アリッサと行動を共にしている。
アリッサの豪快なひねくれた性格とは相性がいいらしい。
「そっか〜、やっぱあたしも占いに行ってもらおうかな?」
「え、ちょっ、やめてよ!!職場に友だちが来るのって恥ずかしいんだから」
と、ブランがあわててミネルバを止めようとした時であった。
店の扉が開き、一人の男が入ってきた。




