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ヨルム市の南地区、飲食店が連なるにぎやかな大通りをブランは走っていた。
結局、アリッサがらみのゴタゴタは、太陽が沈むまで続けられた。
定時にこそあがれなかったものの、なんとか無事に早番の仕事を終えたブランであったが、友人達との飲み会の開始時刻にはすでに遅刻していた。
走りながら、ブランは、今日の仕事あがり直前に、アリッサの居室で彼女とかわした会話を思い出していた。
「お疲れ様でした」
「ああ」
「今日もかなりたくさんの方が来ましたね」
「そうだねえ」
「えっと、あのですね…」
「何だい?」
「いやその…こうたて続けに依頼が続くと、アリッサさんの体に負担がかかってよくないかな〜と思うんですよ。だから、もうちょっとー」
「いや、むしろ最近は調子がいいね」
「はあ…」
「それに、依頼の大半はペット探しやもの探し、仕事運や恋愛運を見てもらうって占いがらみだろ、さほど魔力を使わないものばかりなのさ」
「いや…でも、他の入居者もいらっしゃるわけですし…ツールース施設長も困ってるみたいなんですよ」
「いや、それはないだろ」
「へ?」
「こないだあいつと廊下で会ったけど、あたしのおかげで、施設の宣伝になってます、本当にありがとうございます、って頭をさげてきたよ」
「…………」
「これからもお仕事がんばってくださいね、とも言われたな」
「なんじゃそりゃ!!」
通りを歩く人々が、こちらを振り向く。やりとりを思い出しているうちに、思わず最後の一言を口に出してしまったらしい。
それにしても、裏で部下に面倒事を押しつけながら、自分はアリッサに愛想よく接しているツールースに、大いに疑問を感じざるを得ないブランであった。
とはいえ、何もない、誰も来ない日々に比べ、今のアリッサが目に見えて生き生きしているのを目の当たりにしているため、ブラン自身、あまりアリッサに強く出ることができないのも確かではあったが。
そうこうしているうちに、居酒屋「夜夢」の看板がだんだんと近づいてきた。




