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「つまり、『魔力が完全にになくなる』ということ自体が非常に不自然なのです」
「おお…たしかに」
「何者か…おそらくは犯人によってでしょうが、老師は死後、魔力をすべて抜き去られてしまった可能性が強いと思われます」
「なぜ死後だとわかりますの?」
シスター・サリサが素直な疑問を口に出す。
「もし犯人が、老師が生きている状態で魔力を奪い取ろうとしたなら、必ず激しい精神的な抵抗にあうはずです。それならば、その争いの影響が多少なりとも肉体に現れるのですが、それは見受けられません」
「ま、実行犯が馬鹿力の魔物で、犯行後にその飼い主の黒幕が魔力を奪っていったってとこかね」
アリッサの予測にダラスがうなづく。
「ええ。老師の死因は、腹部への並外れた打撃によるもの…とはいえ、これは明らかに物理的な力によるものです。強力な腕力を持つ魔物を使役し、不意打ちで致命傷を与えたのでしょう」
「なるほど、それは…」
ハートストンの顔は、話の意味するところを理解していくのに比例して青くなっていく。ダラスは周りの反応など気にも止めぬかのように話を続ける。
「犯人は、魔力感知能力の高かった老師に不意打ちを食らわせ、相手の魔力を奪い去る高等魔術を使うことのできる人物ということになりますね」
「いやはや、しかしそれは並たいていの魔道士では、なかなかできることでは…」
「相手が並たいていじゃないってことだろうよ」
アリッサの不気味な一言に、部屋のなかは静まりかえる。




