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「まあ、皆さん…」
シスターが悲痛な声をあげる。
「今回はこのような事になって、わたくし何と申し上げたらよいのか…」
シスターは、悲しげな表情を寝台の方に向ける。
「どうか今少し、故人のために祈りを捧げましょう」
これには反論するものもなく、各々の流儀で黙祷を行った。アリッサは帽子をとり胸の前に置き、ブン・ラッハはあぐらをかき両手を合わせ、皆それぞれがガラム老師への祈りを捧げた。
黙祷をしながら、ブランの中には犯人への怒りがこみ上げてきていた。『太陽の家』に勤めてからも、それ以前、別の施設で実習生だった頃も、老人の死に直面したことは何度かあった。
しかしそれらは、寿命や病気といった、いわば運命によって定められた「死」であった。しかし、ガラム老師は、全く理不尽な暴力によって無理やりその命を失わされたのだ。そのようなことが許されていいはずがない。
そして、しばしの間、静かな時が過ぎていった。
「それでは、アリッサ様」
ダラスがアリッサに声をかけ、二人は寝台の方に近づいていく。
先ほどと同じような魔法痕の探査作業が始まり、室内は再び沈黙でみたされた。
「葬儀はどうなるんですか?」
ブランはそっとシスターに聞いてみた。
「今、お弟子さん達がこちらに遺体を引き取りに向かってるそうですわ。イルユリの街まで戻り、ガラムさんの塾で式を行うそうです」
「ご家族の方とかは、いらっしゃらないんでしょうか」
「老師は一人身で、親戚づきあいも全くしてなかったそうよ」
「そうですか…」
ひねくれているところといい、家族に恵まれていないところといい、実はアリッサとガラムは似たもの同士なのかもしれない。それゆえに反発しあっていたのではないだろうか。もし、もう少し誤解を解く時間があったなら、仲良くなることができたのではないか。怒りに続き、ブランの中には悔恨の念が浮かんできていた。だがそれも、今となってはかなうすべはなくなってしまったのだが。




