表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
34/132

34

「まあ、皆さん…」


シスターが悲痛な声をあげる。


「今回はこのような事になって、わたくし何と申し上げたらよいのか…」


シスターは、悲しげな表情を寝台の方に向ける。


「どうか今少し、故人のために祈りを捧げましょう」


これには反論するものもなく、各々の流儀で黙祷を行った。アリッサは帽子をとり胸の前に置き、ブン・ラッハはあぐらをかき両手を合わせ、皆それぞれがガラム老師への祈りを捧げた。

黙祷をしながら、ブランの中には犯人への怒りがこみ上げてきていた。『太陽の家』に勤めてからも、それ以前、別の施設で実習生だった頃も、老人の死に直面したことは何度かあった。

しかしそれらは、寿命や病気といった、いわば運命によって定められた「死」であった。しかし、ガラム老師は、全く理不尽な暴力によって無理やりその命を失わされたのだ。そのようなことが許されていいはずがない。


そして、しばしの間、静かな時が過ぎていった。


「それでは、アリッサ様」


ダラスがアリッサに声をかけ、二人は寝台の方に近づいていく。

先ほどと同じような魔法痕の探査作業が始まり、室内は再び沈黙でみたされた。


「葬儀はどうなるんですか?」


ブランはそっとシスターに聞いてみた。


「今、お弟子さん達がこちらに遺体を引き取りに向かってるそうですわ。イルユリの街まで戻り、ガラムさんの塾で式を行うそうです」


「ご家族の方とかは、いらっしゃらないんでしょうか」


「老師は一人身で、親戚づきあいも全くしてなかったそうよ」


「そうですか…」


ひねくれているところといい、家族に恵まれていないところといい、実はアリッサとガラムは似たもの同士なのかもしれない。それゆえに反発しあっていたのではないだろうか。もし、もう少し誤解を解く時間があったなら、仲良くなることができたのではないか。怒りに続き、ブランの中には悔恨の念が浮かんできていた。だがそれも、今となってはかなうすべはなくなってしまったのだが。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ