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ドドドドド…
ガチャガチャガチャガチャ…
複数の馬の足音と金属製の鎧のすりあわさる音が表から聞こえて来る。ブランとナップは思わず顔を見合わせた。
すでに日付が変わろうという時間だ。フィンは治安のよい国だが、そのぶん娯楽産業はあまり発達しておらず、首都の歓楽街といえど、この時間にはほとんどの店が店じまいしてしまっている。おそらく表通りにもほとんど人影はないだろう。そんな中、多数の人馬が通り抜けるなど通常はありえない事だ。
「俺、ちょっと見てくるわ」
ナップは、さすがに職業軍人らしいところを見せ、表に駆け出していく。ブランも店の入口辺りまで行き外の様子をうかがう。
「おい、ラルスじゃないか!!何があったんだ?」
「ナップか!!」
夜夢の前の通りを今まさに通り過ぎようとしていたのは、護民騎士の一隊だった。
ナップは、その中の一人、馬に乗らずに走っていた若者に声をかけ呼び止めたのだ。どうやら同僚の騎士らしい。ブランも、ナップのそばに行く。
「殺人だよ!!殺人事件!!」
「ほんとかよ!?」
「ああ、スレプ通りの方だ。ごめん、もう行くわ」
そう言うと、護民騎士の若者は、そのまま駆け出して行った。ナップは一瞬考え込む様子だったが、パッと顔をブランの方へ向けると
「悪いブラン、俺もちょっと行ってくるわ」
と言うが早いか、先ほどの一団の向かった方に走り出した。少し行ったところでこちらを振り向き
「お前たち、帰り道用心しろよ!!まあ、ばあちゃんいるなら心配ないとは思うけど!!」
とだけ大声で言うと、再び駆け出し、通りの向こうに見えなくなった。
自分よりもアリッサが頼りになってるとこが、ブランとしては少々情けなくもあったが、何はともあれ、ブランは店内で何事もなかったかのように酒を飲んでいたアリッサを連れ『太陽の家』に戻ることにした。
平穏なヨルムの街に起こる不気味な事件…
ナップ達が駆けつけた現場で、無残な姿となり息絶えていたのが、ガラム老師だということをブランが知るのは、翌朝になってからであった。




