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「なっ!!」
ブランは、図らずも怒りの声をあげてしまった。
「ちょっと、いくらなんでも失礼じゃないですか!!」
彼は、自分の立場も忘れて、ガラム老師にくってかかった。キリー村での冒険を通して、アリッサが、いたずらに破壊だけを行う魔法使いでないことは、強く実感していた。しかし、ガラム老師は、外野の声などまったく相手にするのも無駄とばかり、ブランをスルーして話を続ける。
「いやいや、やはり魔法使いといえども、適性というのはあるという話だよ。それに、そちらの魔法使いどのは、介護士が必要なほど老衰されているようだ。無理はなさらない方がよろしいかと思うが」
一同は、息をのんでアリッサの反応を見守った。アリッサは、表情ひとつ変えぬまま片手をあげ、指をパチンと鳴らした。
「うほぉっ!!」
途端に、ガラム老師の前に置かれていた、冷たいお茶が湯のみから吹き上がり、老師の顔面にかかった。
「おや、すまないねえ。老衰で手がすべって魔法を使っちまった」
「きっ、ゴホッ…貴様ぁ!!」
「思うんだけどさ、あんたこそこの仕事にゃ向かないんじゃないのかい?」
「なんじゃと!?人を濡らしといて何と無礼な!!まずはきちんとわびをー」
「あんたみたいなさあ。頭でっかちな老いぼれは、現場に向いてないと教えてあげてんだよ」
「おのれ、よくもぬけぬけと…」
ウォルターは二人のやりとりを黙って聞いている。ダラスやブン・ラッハは無反応だが、シスター・サリサは両手を口にあてて目をまんまるくしている。
ブランは、二人のやりとりを聞きながら、『太陽の家』で日常的に行われているアリッサとガンダルガのケンカを思い出していた。今日の険悪な言い争いを考えれば、あの二人のケンカは、悪友同士がなかば楽しんでやっているもののように思えてきた。




