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「今の所、犯人からの要求は一切こちらには来ていない。政治的な目的があるのか、はたまた身代金目当てなのか、全くわからないのが現状だ」
ウォルターが答えると、魔道王国の魔道士は、黒いフードを揺らし、うっそりとうなづいた。
「では我々は、ハートストン殿と協力し、まずは一刻も早くその闇魔術師を探査すればよろしいのですな?」
「その通りだダラス殿。ハートストン」
ウォルターに促され、ハートストンが立ち上がる。
「皆様の当面の仕事としましては、誘拐現場における魔力痕の追跡…まあ、これは日が経ってしまったため、今やほとんど失われてしまったと思われますが。及び、傭兵の遺体より抽出した毒物の解析、以前来ていた脅迫状の再鑑定などをお願いしたいと考えております。また、それぞれ流派の違う方々ゆえ、独自の手法による探査なども、平行しておこなっていただければと」
「ちょっといいかね」
ハートストンの説明を聞き、ガラム老師が口を挟む。
「はい、何でしょう?」
ガラムは両手を顔の前で組み、思わせぶりな表情になる。
「つまりは、現時点で我々がするべきことは、あくまで敵の探査をするということだな?」
「そうなりますな」
「で、あればだ…魔法を戦いの道具としか見ていない冒険者の方は、今回はずれてもらった方がよいのではないかね?」
「え…」
ハートストンは、言葉につまり、昼の会議室は、一瞬で緊張感に包まれた。




