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「さて、それでは次はー」
「アリッサ。魔法使いだよ」
ウォルターの言葉をさえぎり、アリッサは座ったままぶっきらぼうに答える。自分が住む国の有力者を前にしても、まったくいつもどおりの対応だ。
そんな彼女に、ガラム老師が厳しい軽蔑の視線を飛ばす。確かにアリッサの態度にも問題ありだが、そこまで邪険にすることはないだろうと、ブランは、老師の態度にかなり腹が立ってきていた。
「まあ!!では、あなたがキリー村の事件を解決なさったという…」
シスター・サリサが感嘆の声をあげた。彼女が所属するヒーリング部隊のおよそ三分の一は、現在もキリー村にて、石化した村人たちの治療に当たっているのだ。
「冒険者として高名だった、アリッサ様とご一緒にお仕事できるなんて感激ですわ」
どうやらシスター・サリサは、感動しやすい性質らしい。ガラム老師の顔はますます不機嫌になっていく。
「そりゃどうも」
アリッサのそっけない返事にも、シスターはうれしそうにうなづき返している。
「それでは、君も名乗ってくれたまえ」
ウォルターにいきなり指名され、ブランは動揺した。国を代表する政治家や、偉大な魔法使いたちの後に名乗るのは、歌の上手い者の直後に歌わねばならない苦痛を増幅させたようなものだ。とはいえ、ここで無駄な間を作るのも恐ろしいことなので、ブランはあわてて口を開く。
「あ…はい。ブ、ブランと申します。老人ケア施設『太陽の家』でアリッサさん担当の介護士をしてます」
「あらあら、そんなお若いのに介護士をなさってるなんて、すばらしいことですわ!!」
またしてもシスター・サリサが口を出す。彼女自身、この面子の中ではまだ十分に若いのだが、その彼女から見ても二十才そこそこのブランは、初々しく見えるようだ。
ブランは、シスターに礼を言うと、ひそかに心の中でため息をついた。
魔道塾の塾長、ヒーリング部隊の神官、魔道王国の魔道士、南方の呪術師、有名な魔法使い、そして新人介護士…どう考えても自分だけ浮いてしまっているだろう。




