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「ドルクロスの魔道士、ダラスにございます。魔道大公ノルン様にお仕えしております」
ガラム老師が、不機嫌な顔のまま席につくと、フードを深くかぶった男が、ボソボソと立ち上がった。
「よくぞ来てくださった」
ウォルターの顔が、ややあらたまる。今までの二人と違い、他国の人間が相手だからだろうかとブランは考えた。
魔道王国ドルクロス…さすがに魔法に疎いブランでもその名前は知っている。大陸中部にある、魔道王と三人の魔道大公によって治められている魔道士達の国家である。
「魔道大公ノルンとは、縁あって懇意にしていてね。今回、個人的に協力をお願いしたんだよ」
ウォルター議員の説明を聞き、ダラスが口を開く。
「ノルン様付きのあまたいる魔道士の中では、まだまだ若輩者ですが、どうぞよろしくお願いいたします」
それだけ言うと、ダラスは、音も立てず椅子に座った。同じ公職にある魔道士でも、ハートストンとはずいぶん違うんものだと、ブランはひそかに考えた。
そして、いよいよ居酒屋の男の番が来た。
「ブン・ラッハ。精霊の、導きによって、ここ来た」
ブン・ラッハとは彼の名前だったようだ。先日の居酒屋で、彼の口から「アリッサがブン・ラッハの『魂の管理者』になる」というような事を言われたのをブランは思い出した。もっとも、意味はよくわからなかったのだが。
「彼は、南方の群島国家ヌーベリアの呪術師だ。予言によりはるか北にある我が国まで出向いて来たそうだ。もちろん、ヌーベリア王の親書により、身元は保証されてるよ」
ウォルターが、ブン・ラッハの身元をフォローする。あまり見慣れる南方の呪術師に、皆が不信感をいだかぬよう気を使ったようだ。




