14
翌日は、朝から雲がたちこめる、どんよりとした天気だった。『太陽の家』には、迎えの馬車が来ており、ブランとアリッサは、それに乗って議員会館へと向かった。
屋根つきの馬車の中でブランは、先日居酒屋で会った、不気味な男と、その伝言についてアリッサに話した。
アリッサは、少し興味をひかれたようだったが
「ま、今考えても仕方のないことだね」
とぼやき、外の景色に目を向けてしまった。
そうこうするうちに、馬車は『太陽の家』のあるヨルム西地区から、官庁街が連なる北地区へと移動していた。北地区の中心には、フィンの政治機構の中枢たる「フィン評議会議事堂」があり、そのほど近いところに議員会館がある。
フィン評議会は、定数が五十名、一定額以上の税金をおさめた国民により選挙で選ばれ、その任期は五年である。王制が主流である現在の世界においては、まことに革新的な国家であるといえるだろう。
「あ、着いたみたいですよ」
規則的だったひづめの音がゆるやかになり、やがて止まった。ブランとアリッサは、馬車から身を降ろす。
目の前には、白い石づくりの大きな建物が建っていた。四階建てで、無駄な装飾のないシンプルなつくりで、建物の周囲には鉄柵がはりめぐらされている。門の両脇には護法騎士が完全装備で立っている。その騎士の隣には、茶色いローブの中年男が、手布で汗を拭いながら立っている。言わずとしれた、議会付き魔道士のハートストンだ。




