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「おお、アリッサ殿!!」
ハートストンがこちらに気づき声をかける。先日は「さん」だったのが、「殿」にランクアップしている。ハートストンに案内され、門をくぐり、中庭を通り玄関へと向かう。中庭にも、建物の窓や通路にも、いたるところに護法騎士の姿が見受けられる。
「すでに、何人かのかたはいらっしゃってます。私はこれから来る方をご案内しますので」
二人を玄関まで見送り、建物二階にある第四会議室に行くよう伝えると、ハートストンは再び門の方へ戻っていった。
建物の内部も、外観同様こざっぱりとしており、白い天井に白い壁、床には赤い絨毯が敷かれている。
「どうぞ」
二階の第四会議室と書かれた部屋の入口にも、やはり護法騎士が待機していた。
騎士が扉を開けてくれたので、ブランは、アリッサに続いて部屋に入る。
部屋の中央には木製の円卓があり、そこに椅子が十脚、均等に並べられている。そのうちの二つには、すでに先客が座っていた。
一人は、二十代半ばの女性。聡明そうな顔立ちに、落ち着いた雰囲気を漂わせる、なかなかに魅力的な人物だ。白い帽子とヴェールにより髪の毛は完全に隠さており、深緑色の僧衣と首からかけた金属製のシンボルプレートにより、彼女がルテラ教の神官であるということがわかる。彼女は、部屋に入ったアリッサとブランを見ると、にこやかに挨拶をしてきた。
いま一人は、「厳格」という言葉を絵に描いたような老人で、ジロッとアリッサたちを一瞥すると、すぐに視線を外してしまった。はげあがった額には深いしわが刻まれ、両脇と後頭部から伸びる白髪は、肩まで到達している。ハートストンよりも更に濃い茶色のローブをはおり、首からは水晶玉をぶら下げている。
「なんだいあいつは、お高くとまりやがって」
アリッサがつぶやくのを聞き、ブランは慌てて老人の方を見るが、さいわい聞こえてはいなかったようだ。




