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「この前、アリッサちゃんが悪者退治に行く時、施設のみんなを魔法で眠らせていったでしょ」
「ええ」
「あん時、ブランちゃんだけは、眠らなかったんだよね」
「はい。アリッサさんの話だと、いつも近くにいたから、自分の魔力に耐性がついてしまったんだろうって…」
「それなんだけどね」
ドロシーに顔を向けられ、不思議なことにブランは、目の閉じている彼女から、見つめられているような心持ちになった。
「魔法っていうのは、使うものの気持ちに左右されるって聞いたことがあるの。アリッサちゃんは、心のどこかで、一人で旅立つのが不安だという気持ちがあって、本当はブランちゃんについてきて欲しかった。もっともアリッサちゃん、頑固だから、表向きはそんなこと認められない。でもね、心の奥にあった気持ちはちゃんと魔法の方に働いていて、ブランちゃんだけが、眠らなかった…違うかしら?」
「そう…なんでしょうか?」
「まあ、こんなおばあちゃんの推理だから、当てにならないんだけどね」
ドロシーは、冗談めかしてそう言うと、先ほど手渡された折り紙を、テーブルの上を使いトントンとそろえた。ブランは難しい顔になり、黙りこんでしまっていた。
「さてと、それじゃあそろそろお部屋に戻ろうかしら。ブランちゃん、折り紙ありがとね」
「あ、はい」
ドロシーは、杖で行く先々を確かめながら、部屋を出て行った。
ブランは、先ほどとは違う考えにとりつかれ、再び一心不乱に掃除を始めたのだった。




