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異世界No.2―ノクターナル―27

 急展開!?いつものことです。

 街を追い出されて新たなマイホームを森のなかに作り、愛馬のネロとも再会したノワールです。ネロがこの世界に来たのは白神の所為でした。


 何でも、ネロさんあの世界で強くなり不死の存在になってしまって慌てて白神が天界に保護したんだってさ。何があったのネロさんや。



 そしてネロとの再会から5年経ちました。私も20歳ですよ。



 その間色々とありました。


 畑を耕していたら宝箱見つけたり、育てたカブがでかくなりすぎて抜けなくなったり。米を森の奥で見つけて歓喜して滑って転けたり、田んぼ作って稲作に励んでたら国が滅んでたり。


 いやぁ、色々あったな。



 買い物で久々にあの街に行ったときは驚いたよ。ギルドの人に血相かいてギルドに連れていかれて本人確認されて涙ながらに「生きてたよぉぉぉ(号泣)」と泣き付かれたときにはどうしたのか混乱しました。何でも私は行方知れずになって死亡扱いになってたみたいです。

 そして知らないうちに国が滅んでてそれも驚いたよ。クーデターが起きてその当時の王権が崩れたとか。今は王弟だった人が代わりに王位に付いているらしい。

 ここだけの話だが、ここ数年狩の許可料を払っていなかったので密猟扱いになるがソレは秘密にしておく。だって街に住んでないから国民でもないし。国が見放したのに払ってやるかっての。


 余談だけど、この国では街や集落に住んでいない場合は税金は発生しないのだ。だから私は対象外です。



 後から知ったけどな。


 そして私の捜索願いを出したのはなんと兄弟子だった。


 今回のクーデターに一枚噛んでいたらしい兄弟子は今や貴族として国で日々良き国にするために頑張っているとか。見合い話が凄いそうだ(ギルド情報)


 やはりと言うか、兄弟子は立派な貴族出身であの変態変人イケメン(笑)ストーカーの血の繋がらない兄だそうだ。もう両親が離婚したから兄弟ではないが、色々と言いたいことが多そうだが、あまり弟とは会っていないらしい。

 白神が自滅しそうだと言っていた相手側駒はやっぱりあの変態変人イケメン(笑)ストーカーで、王になろうとして失敗。今は離宮に軟禁されて一生そこで過ごすそうだ。


 余談たが、その変態変人イケメン(笑)ストーカーの子守り役の四人組は要約子守りから解放されて無事結婚式を挙げることがてきたとか。それは良かった。心のそこからお疲れ様と言おう。



 そしてもうひとつ判明した事実。




 なんと私、ノワールは猫科獣人の国を治める王の子供と言うことが判明した。



 ・・・・そして今私はドナドナ状態で南に位置するその猫科獣人の国――ネコの国――へと兄弟子に連れていかれているところで御座います。


 ネロが怨めしそうに私たちの乗る馬車を睨みながら並走しています。馬車を引く馬たちは少々怯えていますが私にはどうすることもできないので諦めてくださいな。



「説明求む」


「えっとさ、ノワール、ギルドで自分の血筋調べただろ?アレがどうもネコの国のギルドの方に情報が流れたらしくて・・」


「情報漏洩・・誰だ流した奴」


「まあまあ、落ち着いてノワールさん。それで長年探していた末の王子と覚しき君の情報を聞き付けてこっちのギルドに問い合わせたら・・・」


「俺はいわれの無い無実の罪で街を追い出されて行方知れず」


「そう。外交問題に発展してたんだよ」



 つまり、私は問題解決のために捕まって贈り物ヨロシク差し出されるわけですね。わかんねーよバカ。分かりたくもないわ。

住み慣れた場所から離されて誰が嬉しくて天外魔境な陰謀渦巻く王宮に行かにゃならんのだ。全くもって人権侵害甚だしい。



「で?兄弟子は誰の許可を得て俺をネコの国に連行してんの?王様?貴族様?」


「あ、いや、え?自分の国に帰りたくないの?」


「記憶に無い国に帰りたいと思うか? こっちの都合も考えずに連れていくのは強制送還と同じだろ」


「聞いてなかったの!?」



 何さ、その俺だって初耳です!ってリアクションは。聞かれるまでもなく馬車に押し込められて今に至りますがなにか?

 今の私はとっても機嫌が悪い。折角久々に何か美味しいものでも食べようと思っていたのに・・台無しだ。腹へった。


「そんな・・・・ノワールさんの一番嫌いな事じゃないか!・・・どうする俺、どうする? ここはどうにか機嫌をとりなして―――――――何か欲しいものは?」


「肉、鶏肉の甘辛タレ、香草焼き、串カツ、ヒレカツ、トンカツ、ホイコーロー、カレー、シチュー、唐揚げ――(以下無限ループ)」


「あははは・・・香草焼きまではどうにか出来るけど、くしかつぅ?とかは用意できそうにないなぁ(てか何ソレ知らない)」


「ちっ、役に立たねぇな」


「(舌打ちされた!?しかも前より口が悪くなっていらっしゃるゥゥゥ)」


「あー、うちの愛馬がお宅らの馬を親の敵みたいな目で見てるな・・・」


「え!?あの馬君の愛馬なの!?(あの凶暴そうな魔物みたいな馬が?)」


 いっそのこと逃げないからネロに乗せて欲しいなぁ。スプリングもちゃんとして無い馬車に長いこと乗ってると疲れてくるし。ネロの方が乗り心地良いぞ。

 そして冗談抜きに馬車を引く馬をけしかける勢いのネロを馬車の窓から見詰めて心の中でもう少し我慢してくれと思う私であった。


 だって私も乗ってるから暴れられたら困るもの







 今まで居たこの国は今は名前の無い国らしく、元々は立派な名前があったらしいが、前王が崩御した段階でその王朝は途絶えた事になるので名前も消すらしい。ここの世界の常識が分からない。まぁ?クーデターが成功して新たに国を作ったりする場合は名前も変わるのかな?

 因みに今向かっている南に位置するこの国のお隣ネコの国の由来は初代の王が


 王「俺はライオンの獣人だからライオンの名前を国につけたい」

 側近1「国の2割は豹族です。是非豹の名も入れてくだされ」

 側近2「何を言うか! 山猫一族も2割おります。我らの名も!」

 側近3「なんの!家猫族は3割を越えます!豹や山猫ばかり狡いですぞ!」



 とかとか、結局面倒になった初代国王が


 王「ならいっそのことネコの国で良いだろう(投げ槍)」



 と、この名前でおさまったらしい。


 因みに他にも猫科の一族は居るが、当時から力の強かった一族である獅子一族、豹一族、山猫一族、そして数も多かった家猫一族以外の一族の特に虎一族らは冷めた目で呆れていたそうだ。


 一応捕捉しておくと、家猫一族は色んな種類の姿をした小型の猫族で余りにも細かすぎるので一纏めにしたそうな。なので〇〇種と区別するらしい。


 例えると、スコティッシュの様な見た目なら短毛垂れ耳猫種(小さいわけでなく大きい猫一族以外は小が着く)とか、マンチカンは毛が長ければ長毛小小ここ猫種。短く垂れ耳ならば短毛垂れ耳小小ここ猫種となる。他にも細かく表現されるが割愛。


 そして彼らは親と外見がまるで違う子供が生まれる確率が多い一族でもある。赤虎と鯖虎の間に三毛猫が生まれたり。鯖虎から黒猫が生まれたり。馬も親と全く違う毛色で生まれることがあるけど、遺伝子ってのは奥が深いねぇ。私にはさっぱりだ。



「鶏の串焼きで手を打ってくれノワールさん!(マジで勘弁してください)」


 おっと考え事してたら話聞いてなかった。適当に答えよう。



「お腹一杯食べれるなら今のところは・・・今のところは(・・・・・・)大人しくしよう」


「(つまり腹ごしらえしてから考えるってことですか!?)」



 適当に答えたけど腹が減っているのは事実。



 自分でも分かる悪どい笑みを浮かべて兄弟子に釘を刺す。そろそろ馬を休ませるために近くの村か町で止まるだろうからその時に兄弟子の財布をほっそりスリムにしてやろうと決心した私であった。



 そして兄弟子の財布は宣言通りとってもぺらっぺらのスリムな財布にダイエット成功したとここに記しておこう。





 そしてそれから5日かけて村を2・3個経由してやって来ました、覚えてない我が祖国・ネコの国。巫山戯てはいない本当にネコの国が正式名だ。

 我が愛馬のネロはちゃんとお利口さんについてきた。勿論ネロの食糧費も兄弟子及び国持ちなので遠慮なく食べるように許可した。ネロの大きな体を維持するにはやっぱり其なりに多く食べる訳で・・・私よりも出費が酷かった。ま、ここまでゆっくりしたペースで走っていたから余計疲れたんだろう。

 余談だが、ネロが本気で走れば2日は掛からなかっただろう。馬車ってゆっくりだし。



「ようこそ。いえ、お帰りなさいませ殿下」


「「「お帰りなさいませ」」」


 そして王都に着いて馬車は大通りを通り城の前で停まり馬車から降りるとズラリと並んだ使用人(メイドみたいな人(猫獣人)執事みたいな人(豹獣人))が一番位の高そうな執事さんの言葉の後に一声にお辞儀した。壮観だが尻込みしたくなる。そんな光景。まるでメイド&執事喫茶店みたいだ。実際にどっちも行ったこと無かったけど。



「さあ、長旅でお疲れでしょう。勝手ながら旅の汚れを落とす用意も出来ております」


「・・・・・・」



 始終ニコニコとしている執事(推定)は斑点模様から見て豹ではなくジャガーだったのかと思った。自分の呑気さに呆れるが思ってしまったことは仕方ない。

 さて、怪しさ満点だがどうしたものか・・・・胡散臭いと言うか、初対面なのにごめんね執事さん。だから口には出さないよ。



「(クラウドさん、監視システムまだ使える?)」

《マスターの命令とあらばいつでも出来ます》

「(なら、この城の全体スキャンと監視カメラ重要そうな場所に付けておいて)」

《了解しました》


 カメラはどうやって着けるとかそんな野暮なことは聞かないでね。私も知らないし、説明されても多分理解できない次元で説明されるよ。ご都合主義、ご都合主義。これで解決。


 胡散臭さ漂う城は何があっても不思議ではないと私は判断した。慎重すぎる位が丁度良い。特に捨てられた様な私の境遇から誰かが私を目障りに感じている気がしてなら無い。

 それに、白神の敵側は何もあの変態変人イケメン(笑)ストーカーだけだとは限らない。私よりも早くに転生していれば私よりも年上で右も左も分からない様な幼児な私を消す事も容易に思う。


 そう考えると恐ろしい話だ。


 だが、それだと何故私はその“誰か”も焼け野原になった村に立ち尽くす以前の記憶が無いのだろうか?

 紅蓮コウレンの時は赤ん坊の時には自我がもうあったはずだ。彼処に居る状況を作った何者かに記憶を操作されたのだろうか?



 やはり気は抜けそうにない。




「さあノワールさん、あの人に着いて行って______」


「断る」


「ノワールさん(汗)」



 だって愛想笑いの裏に何か企んでそうな目をしてるんだもん。口には出さないけど、腹黒い奴の愛想笑いより何かありそうで恐いし。

 何よりネロが鼻息荒くして足踏みしてるし、ここで目を放したらネロさん暴れまわりそうで。別に彼らに被害が出ても良いけど(ネロさん命取るほど悪魔じゃない。魔王だけど)ネロさんに怪我されたら悲しいし。それに一応兄弟子も危ないし?



「ネロが暴れても制御出来るのか兄弟子?」


「んーーー・・・無理だね」


「だろう」


「あのー」


「庭でも馬屋でも良いからネロを、愛馬を休ませられる場所に案内してくれないか?こいつ暴れると死人が出るかも」

「ぶるるるらるるっ!!」



 そう言うと大きな蹄で硬い石畳を人蹴りして石畳を割った。蹄にも脚にも異常はまるでない。ただ少し力を入れて足踏みしただけだとでも言うようにどや顔をしておりました。君は本当に規格外なのね。それにしてもすごい音だった。ガコンっ!って感じ。

 確かに前の世界でも全力で走ると地面に蹄の痕がくっきりついてたなぁ~と現実逃避でもしてみた。



 その後少しネロが暴れて騎士らしき人達が出動してきたけど、軽快に騎士を吹き飛ばしていたことをここに記しておく。頑丈な獣人はこの程度では死なないらしいが、打ち身は間逃れないだろう。辛いぞ、全身打ち身は。手加減もしてたみたいだし。



 そしてネロ暴走事件も落ち着き(当のネロさんは馬房にて飼い葉とリンゴを堪能している頃だろう)私は風呂に放り込まれることになった。もう二十歳なので(中身は云十歳)流石に風呂の中まで着いてこられるのは阻止した。体くらい自分で洗えるって。

 猫科の獣人だが中身が人間に近い所為か水は苦手ではない。だが、この世界はお風呂文化が庶民には無いので森で暮らすまで濡れタオルで拭くだけで済ませていたので広い風呂はありがたい。マイホームの風呂は170㎝まで伸びた身長でものびのびと入ることができる湯船だが、プールかと思うくらいの湯殿もたまになら良いものだと思う。

 こんな豪華な湯殿を使うのは紅蓮コウレンの時以来だ。あの時は邪魔が入ったりバタバタしていたりと楽しんで入れなかったなぁ


 余談だか前にも言ったように獣人は大柄なので180㎝代はざらにいる。てか、ぶっちゃけ180はチビの部類だ。女性でも175は普通サイズです。これも平均より小さい程度。私って、私ってとんでもなくチビなのねここでは。



 少し悲しくなっていると、やっぱりと言うかなんと言うか、誰かの気配が湯殿に忍び寄ってきた。この気配は・・・多分知らない人だと思った。何やら脱衣場の外で待っているメイドや執事と何やら話し込んでいるみたいだ。

 話の内容が気になったのでクラウドに中継してもらった。


(あー、あー。こちらノワール。現場のクラウドさん?)


《・・・あー、マイテス、マイテス。はい、こちら現場のクラウドです。》


 目を閉じてクラウドご送ってくる映像をまるでテレビでも見るかのように映すスキル“クラウドチャンネル”を駆使する。

 映った画面は小さな2頭身のデフォルメされた可愛いネコキャラのクラウドが中継先のアナウンサーの様に中継してくれる。目を瞑らなくても見れるのだが、自分の目で見た映像と中継している映像の2画面同時に観るのは少し辛いので最近は目を閉じて見ることにしている。

 今の体は生身だから無理しすぎると色々と不調が起きる。頭痛くなったり。



《スキャンも併合して見た結果、メイドさんと話しているのはこの国の第二王子の様です。因みに王には現在お子さんはマスターを入れて10人と子沢山です。もっと詳しく述べると3人は王妃のお子さんで他のお子さんはそれぞれ違う側室を母に持つようです》


(つまり・・・?)


《はい、会話から察するにマスターの事が気掛かりで様子を見に来たようです》



 つまり、ぽっと出の弟がどんな奴か気になって見に来たが風呂に入っているために待ちぼうけしていると?そゆこと?


《実際に会話をお聞きください》


(あ、クラウドさん面倒になったな・・)



 以下第二王子とメイドの会話


 第二「件の彼はまだ風呂から上がってなかったのか」

メイド「はい、猫族にしては稀に見る長風呂で御座います」

 第二「・・・どんな様子だった?」

メイド「様子とは?」

 第二「誰に似ていた?もう二十歳と言うことは父上の様に立派な鬣を持っていたか?」

メイド「いえ、紛うことな黒豹でございました」

 第二「・・・・・・」

メイド「・・正直に述べますと黒猫で御座いました」

 第二「・・・・(;´_ゝ`)」


 以上第二王子とメイドの会話でした。



 そういえば前にギルドで先祖を遡って調べてみたけど、母親は真っ白な白豹(全く斑点もない)で父親がシマシマライオン・・・・・・ってことはだ。そのシマシマライオンがこの国の王様?



 シマシマなライオンが王様?


 もしかしなくても私の捨てられた理由ってあまりにも両親に似てなかった所為か? 白い要素全く無いもんね私。

 それにこのままだと王と血の繋がりがないと思われて自由の身になれるかも。


 てか、私は黒猫じゃなくて黒豹です。・・・・体小さいけど



 正確な身長なんて測ったこと無いから分かんないよ。






 さてさて、湯船に浸かりながらあーだこーだ考えていると次第に頭がボーッとしてきたが、もしかすると私はのぼせたのだろうか?


 体がぐらりと傾いて遠退く意識の中、顔がお湯に浸かる感覚とやけに遠くから聴こえた慌てたような声に返事をしなければと思いながら私は意識を失った。




 疲れてたのか私?
















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