異世界No.2―ノクターナル―28
遅くなりました。本当にすいませんm(__)m
浮上しかけている意識の中、遠くで馬の嘶きが聴こえた。
何かを、哀しみを訴えかけるような悲痛な叫びと人の怒号と何かが崩れ落ちる「ドドドォ」という音に完全に意識がハッキリしてきた。
「(頭いたぁ~・・・)」
どの人生でも二日酔いにはなったことがないので多分の話だが二日酔いってこんなにガーンと痛いものなのではないだろうか?
毒殺されかけた時はノーカンだ勿論。
(クラウド、何があった?)
《マスター!良かった気がつかれたんですね__このまま目覚めないかとハラハラ致しました!》
(心配かけてごめん。でさ、・・・この悲鳴とネロさんの怒りの雄叫びは何が起きてるの?)
さっき悲しそうな嘶きとかほざいたけど実際ちゃんと聞くと怒りの雄叫びであったことが丸わかりだった。それと石材か何が崩れ落ちる(らしき)音と爆発音も時たま聞こえてくる。何をしているのホントに・・・・
私が寝かされていた部屋は真新しい家具に染み一つ無い壁に天井の品の良い金持ちの部屋って感じなのだが。何故か子供用の家具が並び、子供が喜ぶようなヌイグルミやオモチャが溢れている。部屋の品の良さが台無しだ。そして今私が寝ていたベッドも子供用なのかシーツや布団が子供が喜びそうな柄だったりする。
私、中身差し引いても二十歳何ですけど。恥ずかしいんですけど。そして子供用だと思うのにでかいなベッド。金持ち特権か?
そしてクラウドの説明では私はのぼせて湯殿で倒れてこの部屋に寝かされていたらしい。その間使用人や兄弟子も様子を身に来ていたが今は外の騒動に手を貸しに行ったようだ。余程酷い状況なのか。
そして城じゅうを監視できるクラウドによると、私が倒れた辺りから暴れだしたネロさんを宥めようとしたこの国の王子(第二王子ではない誰か)が吹き飛ばされたらしい。クラウド曰く《勝手に触ろうとしてネロさんに頭突きをされました》そうだ。
なに勝手に人の愛馬に触ろうとしてしてるんだ(怒)
(頭がどんどん痛くなってくる。いろんな意味で)
《御労しやマスター》
こうして部屋に居続けてもどうにもならない。窓から怒号と悲鳴飛び交う方へ様子を見てみる。
どうやらこの部屋は3階程の高さが有るようで、ベランダの類いは無い。ここから降りようとする者は先ず居ないだろう。足首を挫く位ならまだ良いが足の複雑骨折は骨が突き出て・・止めよう、想像したくない光景だ。
ここからは馬屋は見えない。どうも城の正面にある豪華な庭ではない小じんまりした殺風景な庭が下にあるのでここは裏庭的な場所なのだろう。となると・・・確かクラウドがスキャンした地図で見ると城の裏手にある馬屋からは近いだろう。
私は確かめるために城の見取り図を視界の右上に表示して現在位置にマーキングをする。小さな(比較的)部屋が現在位置。どうも入り組んだ場所だ。これは案内がいないと確実に迷う。城ってのは元来敵襲に備えて造られることも多く、この世界では城は言わば迷路とか普通らしい。それでよく小さな王族の子供が迷うらしい。自分家で迷うって大変だな。
現在位置の部屋を青く塗りここからは馬屋までのルートを確認。うん、結構近いようで遠い。迷路の様な城の所為だ。
そしていざドアを開けようとすると___
「・・・・?(ドアに鍵が掛けられてる)」
予想してはいなかったが、お約束な展開に苦笑い。何か術でも掛けられているのかびくともしない。ピッキングしたくても鍵穴も見当たらない。どうやら私をここに閉じ込めた相手は意地でも私を外に出したくないらしい。
・・・・そうなると出たくなるのが人の性。
ドアに鍵、ピッキングもダメ、なら方法は一つ。それも簡単だけどあまりお薦めできない様な方法。勿論頑丈な体なら大丈夫だろうけど。こういう時に魔法が使えれば楽なんだけどね。重力軽減の魔法とか、風を操るとか出来ればねぇ。生憎と魔法の才能はからっきしだったのだから仕方ないのだけれど。
私は躊躇なく窓から飛び降りた。
確かにいくら体が丈夫な獣人でも3階の窓から飛び降りたら怪我は間逃れない。が、がである。
私は猫系の獣人であり、尚且つ体も軽い。しかも豹の獣人は高いところから落ちたところで落下ダメージ軽減の様なスキルが生まれつき備わっている・・・らしい。私は元からあった。
※猫系獣人だからと言って誰しもそんなご都合スキルは持っていない。ご都合主義のなせる技だ。
3階の高さも何のその。華麗に両手両足で着地する。これが一番体に負担が掛からないのだ。あ、でも皆は真似しちゃダメだよ。怪我するからね。
未だに悲鳴と怒号は鳴り止まない。いつまで暴れているのだネロさんよ。
(私が起きてから何時間経った)
《約・・10分ほど》
それほど経ってなかった。もう少し時間が進んでいると思った。
見取り図を便りに馬屋に向かうとかなりご立腹なネロさんが手綱を着けようとした兵士を頭突きでノックアウト&リリースしてぶん投げ、首に縄をかけようとした兵士を縄ごと振り回したり・・・・殆んどネロさんに遊ばれていた。20人の兵士を手玉にとるネロさん流石です。
ネロさんの足元に何か丸いものが震えているが、あれは報告に受けた何番目かの王子か?マントだか何かの下から白と黒のシマシマな尻尾が小刻みに震えて静電気で広がった髪の毛の様に膨らんでいる。まるで理科室に置いてあった試験管を洗うときのブラシみたいだと思った。
このまま見ていてもネロさんが悪役になるだけなのは癪なので止めに入る。
「どうどうネロ。一先ず落ち着け」
「ぶるぅぅっ!」
何故止める!と言いたそうな目を一先ず落ち着かせる。足元に居た王子は踏むと面倒だから周りに居た兵士に早く離れたところに連れていけと言い離れさせる。その時何度も転けたのは見なかったことにしよう。あ、何か私に仕掛けてきたら遠慮なく指摘するけどな。
「ノ、ノワールさん?」
「・・・・・」
兄弟子(名前なんだったっけ?)はすまなそうに、と言うよりは恐ろしいモノに近づいて様子を窺っている様な視線で私を恐る恐る見る。そんなに私が恐いか。
「あの暴れ馬を良く手懐けた―――――」
「あ、」
兄弟子が言葉を言い終える前にネロが兄弟子の頭をガプリと兄弟子の頭を噛んだ。とはいえ本気ではないようだ。もしも本気なら血がだらだらと吹き出し――――グロテスクな表現でとてもお聞かせできる無いようではないのでカット致します。byクラウド――――だったね。あれでは生きていられないよ。
ん?何かに妨害された感覚があったけど何かあった?
《いえ、害になるようなこと(を省いたので)無いですよ》
そう。
ネロさん曰く、「いきなり現れて挨拶も無しに俺に乗ろうとしたんだ。暴れても仕方ないだろ。byネロ」だったそうで、クラウドの言う通りでした。元々ネロは人嫌いで見慣れた人でも乗せたがらないので勝手に乗ったら先ず間違えなく暴れます。
調教とかしても無駄です。そもそもその調教が原因で人間不振と人嫌いになったのですから。鞭とか見ると怒りが沸々と沸いてきますし。暴君ネロは伊達じゃないのです。
「――――あの、ノワールさん・・このうmイダダダダっ!―――このお方のお口を取ってくださいませんか?」
「あー、ネロ」
馬と言いかけてかじる強さを強められた様でかなり痛そう。ネロは馬といわれるとバカにされたように感じるため名前で呼ぶか他で呼ばないと怒ります。ってもう遅いか。
ネロに放すように目配せすると「えー、もうやめるの?(´・ω・)」な顔で見てきたのでリンゴを取り出してご機嫌取りをする。すると直ぐ様放す。そうか、お前もリンゴに目がなかったな。
そういえば私は素っ裸で倒れたはずなのに服を着ていた。メイドに着せられたのならどんな羞恥プレイだよ。腕に着けている収納の腕輪は風呂でも外さなかったのでそのままなのは分かるけど。それに手持ちの荷物は何処にいった?逃走防止に取り上げられたか捨てられたかもしれない。まあ、別に取られて困るものは出してなかったし、この収納の腕輪が残っていたのは着けた本人以外が取れない仕様だ。別に困ることはない。
お金も手持ちには少しだけだったし。・・・それでも処分されたのなら(金は誰かの懐に入ったと予測)それはそれでかなり癪だ。そいつが判明したら取っちめてやる。
「あぁ――おでこに痕付いてない?」
おでこに手を当てて心配する兄弟子に真実を伝える。
「くっきり歯形が付いてる」
「オウフッ!Σ(×_×;)!」
精神的なダメージは間逃れないようだ。
ネロに勝手に触り、乗ろうとまでした王子は腰を抜かして御付きの人に担がれて退場していった。そして城の前で出迎えた胡散臭い執事が急いでやって来て一言、
「捜しましたよ・・・(疲)」
そりゃ鍵かけてる部屋から居なくなったのだから探すよね。閉じ込めていた相手が消えたらそりゃ焦るよねぇ。で、兄弟子もこれに一枚噛んでたら・・・・ね?
でも少し疲れた二人を見たら少しだけ胸がスカッとしたのは内緒だ。




