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異世界No.1―アテナ―19

 Q,どうやって頭だけで移動するの?


 A,髪の毛が自在に動くんだよ。伸び縮みはしないけど、目にも手足にもなる優れものだな。



 こんな主人公です。もう頭が飛ぶことなんてないと思うけど。


 それと、この主人公ロボです。機械です。血なんか出ません。






 さてさて、逆襲と行きましょうか。




 前回首が飛びました。どうも、ニーアです。機械でよかったよ。飛んでも痛くないし…でも不愉快なことには代わり無いよね?


 てなわけで、反撃開始だ。





「グッ……クソッ……」

「ラルフ!?…キャッ……(回復出来ない…)」


「……(壁役がいないとどうにも……いつもはあんなに楽に魔法を使えたのだがなぁ)」


「もうやめよう。力の差ははっきりしている。彼の首は諦めてくれ。いくら機械でも首が飛べばもう無駄だろう……さぁ…」


「へぇ~……自分で飛ばしといて、さも、自分は悪くないって言い草だなぁ。で?誰が無駄だって?」






 ………ブフッ……何だよその…(゜.゜)な顔は……間抜け面も良いとこだよ。メリル達も目が点になってるし……死んでないからね。無事だからね私は。伊達に機械じゃないのよ?修理すれば半永久的に動いてるからね……ま、頭の大事な部分が破損すれば終わりだけど。バックアップも取れないし。




「何?お前が言ったんだろう。機械ってさ……首が跳んだなくらいで壊れねぇよ。ナメんなよ機械。」



「本当に……大丈夫なの?」

「おい。首が吹っ飛んだんだぞ!?大丈夫なのかよ?」


「あぁ、頭をパージしただけだから。いきなり後ろから斬りかかられて避ける暇無くてさ……回避のために首飛ばしたら…いやぁ…飛ぶわ飛ぶわ……お陰で胴体にたどり着くまで時間食った。」



 何処かで白神が「ゆっくり……」と呟いた気がするが、おい。ニ〇動の見すぎだろ。あれは饅頭頭。私はヘッドパーツ……あれ?パーツなのか?




「不死身かお前」


「機械だし。頭が取れただけだぞ。死ぬなんて概念ないしなぁ……まぁ、大破すればスクラップだろうけどさ」



 嫌みも込めてエスデカにニヤリと微笑む。勿論腹のなかは真っ黒な気持ち満載なニヤリだけどな。首を飛ばされて良い気分な奴なんていないだろ。


 あ、そうそう。首が文字通り飛んだ時は何らかのショックで声帯部分が機能してなかったのね。クラウド曰く《壊れてはいません。あんなタカダカ金貨100枚程の剣で斬ったほどではマスターのボディは掠り傷ひとつつきませんよ。何せマスターのボディは失われつつある生体機械技術の…(中略)……なんです。そもそもマスターの頭を代用品に使うなど言語道断!……(以下略)》らしいです。いや、この話未だにクラウドさん続けてるのよ……



 ま、流しといて、




「話は大体聞いてたけど……俺の頭を代用品に使うなんて……何様だお前。お前の尻拭いを俺にしろってか?冗談じゃない。お前がすることはただひとつ。魂胆見え見えの王さまから魔王の首を取り返して魔王本人に返すことだろ。」


「しかしそれでは、また魔王が……」



「一の犠牲で全を助けるねぇ……ん?おい。お前まさか本気で魔王が悪役だと思ってるのか?」


 隣に居たルシェに確認を取る。ボロボロだが元気そうだ。



「本気らしい」


「マジで?」


「マジだ」



 ルシェに割りと本気で聞いたのだがマジな顔で返された……本当に解らないのな……あ、なんか逆に可哀想になってきたわ……。



「おい、マジかよ……お前本当に…あの王さまが人畜無害な奴だと思ってんの?引くわぁ…その頭が可愛そうになってきたぁ~。」


「どういう意味だ…」



「どうもこうも…なぁ?」


「うん」

「あぁ」


「何故解らないのかそっちの方が不思議だ」



 メリル達の意見もこの通り、王さまに直接会ったこともないなのによく分かっていらっしゃる。噂ではろくでもない浪費家の色狂いな愚王だしね。


 ま、確かに噂は噂なんだけど、噂もバカにはできないよね。火の無いところに煙はたたないって言うし。意図的に悪い噂を流すにしても、良い噂が一つもない……人の口に戸はたてられないにも関わらずに、ね。


 それに魔王討伐なんて暴挙に出て、和解を申し出ている魔王の要求「首返してくれたら許すよ?」をまるで耳を向けず、勇者(笑)のエスデカに「代わりを見繕え」なんか言ったのかと思うと……どっちが悪者かな?


 ま、今回の首狩り事件はこの勇者(笑)の独断かもしれないけどね。


 どっちにしても先ずは魔王の首を返しに行って真偽を確めて来れば良いんじゃないか?





「そもそも、その後ろに居る取り巻き達は…何か思うことがあるんじゃないか? この前の五月蝿さがまるで嘘のように静だしな。で?どうなんだよ」



「確かにこの間の五月蝿さが無いな……」


「(確かに……)」

「この間はメリルを睨んでたもんな」




 まぁ、好きな奴になにも言わず従っているのもひとつの愛なのだろう? けど、それってこいつをダメにする要因だと思う。間違ってることは間違っていると言ってやるのも愛情だ。例えそれで嫌われたとしても。あ、だけどね、私が嫁さん改め藍苺(ランメイ)に対する厳しさはこれに当てはまるけど、義弟のイガグリ(黄の国王子の大雅(タイガ))に対する厳しさはこれっぽっちも愛情はありません。あれは本当に嫌いなんです。あと、このエスデカも嫌いな部類だね。



「まぁ、このおバカは置いとくとして……にしても……俺の顔ってそんなに魔王に似てるのか?」



 最初に思った疑問を口に出してみる。似てるのか? 似てたら父さんみたいだったりして……ならヘタレなのかな?


 こんな事になって魔王もさぞや神経を磨り減らしていることだろう……胃薬用意して渡そうか…?




「と、兎に角!君の頭を貰うよ……痛くないのだろ?ならっ…!」



 おっと、どうやら勇者(笑)はまだ諦めていないようだ。説得するのも面倒だし、気絶でもさせて大人しくなってもらおうか? その方が手っ取り早そうだし。



 私は無言で敵を睨み付けながら移動する。私の立ち位置は中距離。ヒーラーと砲台役の壁役だ。攻撃が後ろに届かないようにするのが役目。特に矢とか魔法が前衛の撃ち漏らしたソニックブームとか掻き消したり、敵後衛の詠唱を邪魔するのも役目だ。




 さて、本領発揮…かな?




《状況を確認……敵のステータスとレベルに異常な数値を確認。状況を考慮してリミッターを解除します。20ターン内に敵を殲滅(戦闘不能)にしてください。》

(聞いてないんだけど…何?リミッター?初耳よ?)

《この森のモンスターは解除しなくともマスターなら勝てます。》

(まあ、確かに……苦戦もしなかったけど。ん?敵のステータスとレベルに異常?ナニソレ?



 ステータスってのはあれだよね。ゲームとかでキャラの攻撃力とか防御力とか。レベルも同じく……なに?異常に高い? んーん……それはまさか……



(何らかの外的要因による何らかの干渉、或は改竄?)

『まさにその通りだ』



 いつの間にか話に参加していなかった白神が突然声を出したことに少しビックリしつつも、何かその通りなのかを聞いてみた。



『うむ。すまんな。少し調べものをしていたのだ。それと、この世界の時間を一時的に止めた。ゆっくり話したいからな』



 何でも、疑問に思い調べに奔走していたようだ。お疲れ様白神。


 そして白神の報告によるとこうだ。




・魔王は冷静に頭の返還を要求している。本人に人間の国を攻める意思はない。だが、側近が殺気立っているが……


・魔王の頭を求めていた王さまは禁呪に手を出しているようでその用途に頭が必要になったらしい。ろくな事に使うわけはないので早々に取り返した方が良さそう。


・私の頭を勝手に代用しようとしたのは王さまの命令「適当に似たような頭を見繕え」を実行したようだ。私の頭を勝手に……私とばっちりだよね。


・王さまの側近に最近なった魔術師が怪しすぎる。もともと魔王の頭を求めていたのはコイツ。もう黒だろコイツは。黒幕にしろとかげの尻尾にしろ。


・魔王とは魔族・魔物をまとめる者達の総称。この世界の歴史で一度も人間達に敵対したことはない。つまり、積極的に交流はしなくても討たれるようなことは代々やってはいない……が、各国の王は不幸なことがあると皆魔王の所為にしてきた。八つ当たりである。


・勇者(笑)達のステータスとレベルの異常な高さは曰く『神の御業』だとか。白神に敵対している神が何かしらステータスを弄ってチート化したようだ。大丈夫か?そんなことして。何か異常が出ても不思議じゃないよ。


・私の顔は魔王とは瓜二つらしい。カラーリングまでそっくり。……何だろ……そう思ったら親近感ご湧いてきた。




 結論。さっさとバカ共のバカな思惑を蹴散らして、首を不憫な魔王に返す。もうこれだろう。



 それと、胃薬もいるかもしれない。殺気立つ側近や家臣達をいさめるのもさぞや大変だろう。魔王胃が心配だ。





 と、まぁ…今後の方針は決まった。先ずは目先の敵(笑)を蹴散らしてしまおう。と、その前に……




「折角時間が止まっているんだ……勇者(笑)にイタズラしておこう。」



 先ずは額に肉……は定番過ぎるな。よし、(笑)って書こう。次いでに猫髭も両頬に書いて次は取り巻き達の方に向かう。此方は女性なので油性ペンでのイタズラは止めておこう。女性はこの手のイタズラをかなり根に持つからね。


 それにしても、白神のノリのよさには驚く。ポンッと神の御業で油性ペンを出すんだもの。


 女性陣四人は攻撃ターゲットをメリル達から勇者(笑)に変えておく。フフ……御愁傷様。



 けど、これだけで済むなんて思わないでね。私の頭を取ろうとしたことは……まだ仕返しし足りないから……生身なら死んでた。




『もう良いのか?もっとやってもいいと思うぞ?』

《マスター…私も白神さんの意見に賛成です》

(二人とも……仕返しとか、いたぶるのは反応があるから面白いのよ?)



 こんな止まった状態の奴に仕返ししても何の反応もない。そんなので楽しい?ヌイグルミにいくらパンチしても何もなんないのと同じで……あ、あれはストレス発散にはなるか……一発殴っとくか?






 ――――そして時は動き出したのだった。



「――――っだ。…っ!!痛い……ってギャァーー!!」


「え?エスデカ様に当たった……えっ!?」

「なっ、何をしているの!……あら、わたくしどうして弓をエスデカ様に向けて……ごめんなさいっ!」

「キャー!ちょっとエスデカ!?何であんたがターゲットになってるのよ!!」

「僕に聞かないで……痛いよ……」

「ごめんなさい……あ、間違えて彼らを回復してしまいました……」



 ラルフをロッドで殴ろうとしていたお嬢様風のその1は何故かターゲットをエスデカに変えて殴り、お嬢様風その2の矢が頭に刺さり、ヒステリ気味の風の上級魔法が襲い、さっきまでボロボロだったメリル達お嬢様風その3が全体回復術で回復した。フフフ……これで終わったと思うなよ。



 こうして戦況がガラリと変わり、勝負は多分互角になった。はず。





 基本ニーアさんは倍返しです。やられたらやり返せ。

 

 でも、女性にはしません。後が怖いですから。女性は根に持ちますからね……えぇ、いつまでも…ね。



 勇者(笑)と完全に名前を覚えられているエスデカさんはこの仕打ちですが……人様の首をハネようとしたら、これは仕方無いと思うぞ。



 さて、額に書かれた(笑)は前髪で微妙に見えてません。が、たまにチラっと見えてラルフさんは笑を堪えていると思います。女性にはまだ猫髭にも気が付かれてはいないのです。



 発覚した時の反応が楽しみ?です。







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