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異世界No.1―アテナ―20

 この話もご都合主義ですが、都合よくいくのは主人公だけではないと書きたかった?のでしょうか自分………何がしたかったのかな?



 遅くなりました。






 そこまで話してふと、隣の嫁さんが気になり見てみると……



「………(怒)」



 怒っていた。しかし、先程まで食べていたのかゴマ入りおからクッキーを口に咥えながらなので恐くない。それよりも滑稽で笑すら起きるほどだ。



「……で?」

「ん?」

「その勇者(笑)はそのあとコテンパンにしたんだろ?続き早よ」



 どうやら首が飛んだ辺りから怒りが湧いてきたようだ。ま、そうだろう。普通なら怒るよね。



 怒りを納めるためにお茶の変わりに桃果汁のジュースをソッと前に置いておいた。これで少しは怒りがおさまるかな?










        ********










 戦場はとても混乱している。何故なら敵側に混乱が見られるからだ。仲間割れでもしているのかとも思ったが、皆驚き攻撃が当たった勇者(笑)に謝っていてる。若干約1名謝っていないが……ヒステリックは未だに喚いている。多分予想できないイレギュラーに弱いのだろう。混乱している。



 と、言うのがルシェの見解だ。



「お前が冷静で良かったよ。」


「いや、結構混乱しているぞ?」



 ルシェが見た限りでは冷静で良かったよ本当。メリル達は混乱から固まってしまっている。



「おいっ!シャキッとしろ。戦闘は続いてんだぞ!!」


「「!!!」」


「戻ってきたか?」




 私の一喝により現実に戻ってきたメリルとラルフは未だに目の前で繰り広げられる勇者(笑)と取り巻き達なの混乱を信じられない目で見ていた。



「考えるなら後ででも出来るだろ。今は目の前の敵をどうにかするぞ! アイツらが吹っ掛けてきたんだ。多少手荒でも姑息でも今がチャンスだ。一気に畳み掛けるぞ!」


「えっ!?……あっ、そうね。分かったわ」

「分かった。」


「よし、最大魔法で方を付けよう」



 私の号令で漸く隊列がまともに戻った。メリルは急いでラルフとルシェに術を掛けて攻撃力を上げ、ルシェは最大魔法を詠唱している。ラルフは力を溜めて勇者(笑)パーティに突進していった。その間にメリルの防御力アップの術が掛かり勇者(笑)の咄嗟の反撃も掠り傷で済んでいる。



 そして私は……




「させません!」


「おっと、大人しくしてな」



 出費がかさむと渋っていた拳銃を解禁して敵側の後衛の動きを制限している。弓矢では手数が足りないから。弓を引いている暇がないのだ。敵側が術の詠唱を始めれば足元に銃弾を撃ち込み詠唱阻止して、弓矢も狙えないように邪魔している。それに回復なんてさせない。


 勿論二丁拳銃だからそんな事ができるけど、特に今はリミッターが外れているからこそ出来るわけで……一人で3人の足止め妨害を普通なら出来ない。けれどもメリットがあるならデメリットも有るわけで……



「(さっきからMP(マジックポイント)ってのがガリガリ無くなっていってる……これが約20ターン内に倒せって事か)」


「小癪なっ」

「卑怯ですわよ!」

「何なのよっ」

「ぐっ……」



 残り15ターン……勇者(笑)のHP(ヒットポイント)は残り3分の1だとクラウドが教えてくれた。何とか間に合うか?



 実はこの足止め……スキルだったりするのだ。その名も捻りなしの「足止め」なんて名前だ。敵側後方の行動を邪魔する。デメリットは発動ごとにMPが減る。それに相手が自分より素早さが高ければ発動できない。今はリミッターが外れているからこの戦場では誰よりも高い私がこうして牽制出来ている訳だ。



 そして私は戦闘用とはいえ、微妙に人間を攻撃できない。それは予め付けられたプロテクトなのか、私の心の問題なのかは分からないがまともに攻撃できないでいる。クラウド曰く《元々マスターは対戦闘用アンドロイド兼対サイボーグ用として作られた》から人に危害を及ぼすようなことは極力避けるようにプログラムしてるらしい。勿論、身に危険が迫ればその限りではないけれど。



 さて、私の今いる位置は自分側の最後列から二番目。前からも二番目な中距離。始めの方にも言った気がするけど、最後列の二人の壁約。最前列は切り込み隊長・猪突猛進ラルフが同じく敵側の最前列の勇者(笑)と睨み合っている。


 ターン制なのでリアルタイムじゃないので始終鍔迫り合いは起こってない。テレビ画面で見ているとそうでもないけど、実際こういう闘いを見ていると滑稽だと熟(つくづく)思う。楽なんだけどね。


 ラルフは主人公補正とか無い普通の人物だ。それでもあの勇者(笑)とメリルの援護が有るのを差し引いても渡り合っているのはすごいと思う。ラスボスとか、中ボスじゃないのよあのヘタレ……。



「あんなに強くなって……ママ嬉しいわ~。これでヘタレ返上ね~」


「誰がヘタレだっ!!」



《特殊スキル「会話」の効果により、ラルフさんの攻撃力が+10上がりました》



 何故か口からポロリと出た言葉を聞いたラルフの攻撃力に変化があったとクラウドが報せた。なんだか昔、ミケに強引にやらされたTRPGみたいな?ナニ?会話で攻撃力上がるの?



《TRPG?》

(卓上でやるRPG?私も引っ張られて仕方無くやったから詳しくは知らないんだけどね)



 ルールブックとシナリオ集とサイコロで遊べるゲームらしい。後は、キャラを作って作られたシナリオに沿ってプレイしていく。有名なのはクトゥルフとかかな? 私がやったのは……なんだったけな? あまりよくは覚えていない。あ、一人は進行係みたいなのがいたね。


 あぁ、そうそう。バトルもこんな感じで敵と自分側とラインが敷かれてて……敵に近づく程受けるダメージとかに影響する……だったはず。一番安全な敵から遠い所は楽園で…近い場所は煉獄? んー…記憶が曖昧だ。


 何が似てるって……キャラを作るときにスキルとか選ぶんだけど、その時「号令」とか「会話」で正気度回復か、攻撃回数だか多くなるとか……あった気がする。


『おぉ…今では合成音声で喋っている実況も動画投稿サイトで多々見るぞ。ク〇ゥルフとか、~後〇談とか。色々あるぞ。』


 然り気無く宣伝すんなよ。投稿者様にアポ取ってないんだぞ。ま、面白いよねあのシリーズ。サイコロ振って運頼みだからキャラが行動不能になったりして新しいキャラ作るとか本当に起こるからね。ミケのキャラも手当てしないで放置したらあっさり病院に入院で行動不能になってたもん。



『然り気無く酷いなお前。ネタとしてなら許せるが、本当にやったらダメだろ……』



 いや、ミケの奴「それもTRPGの醍醐味!」って泣きながら新キャラ作ってたけど?


《マスター…それは悲しんで非難も出なかったのでは?》


 ……戦闘で庇ったら…「何で庇ったのベル…私にはデレは要らないっ」って言われたよ?



《…………》

『………(え?Mなのか?)』




 おっと、話を戻そう。勿論今現在も戦闘は続いている。こちらは敵側のミスで全回復しているけど、精神的な消耗はヤバイと思う。でも、困ったことに私は直接的にあちら側を攻撃できないで……もどかしい。ま、ルシェが殺る気満々で上位魔術を詠唱している。


 ここで解説を入れるとね。技は与えるダメージが大きいほど消費するMPも多くなるけど即時に攻撃できる。それに対して魔術はMPも消費量が多いけど与えるダメージもかなりデカイ。しかし、初級なら即時だけど下級から1ターン後、中級なら2ターン後、上級は3ターン…最上級なら4ターンとリスクも高い。だから私が首を元に戻そうと必死で這いずっていた時の戦闘は魔術がさっぱり撃てなかったのだ。



 この世界は魔術(魔法でも可)を使う魔術師と壁約はセットと考えられている。特にエルフの魔術師は多くて溢れる人もいるみたい。勿論エルフにもスカウト(偵察・中距離)な人もいるみたいだけどね……少ないのよ。だからルシェの様に魔術がスゴくても性格に難アリな者は溢れるんだってさ。


 最近ではドワーフと組む人も多いって聞くけど。このパーティにももう一人パワータイプ兼壁約が欲しいところ。ま、現状居ないんだし仕方無いよね。



 あぁ、こんな時に頼れるドワーフ・大工頭領グスタフさんが居てくれればな……無い物ねだりか。



 グスタフさんは一夜にして私の今の家を完成させた。豊臣さんもビックリな一夜城ならぬ一夜家を仲間数人で作ったのだから、腕っぷしも戦闘では役に立つだろう。屋根の上から落ちてもピンピンしてたし……あ、落ちたんだよグスタフさん。建ててる途中で。地面にくっきり跡が残っているのに無傷ってスゴいよね。どんな肌してるのかな?鋼鉄かな?



「皆に活力を!」



《メリルさんの「祝福」によりパーティ全員のMPが50回復しました》



 メリルの援護術「祝福」によりメリルも含めた味方全員がMPを回復したが、元の最大MPが皆よりも圧倒的に多かった私には雀の涙……それよりもアイテムで自分のMPを回復した方がいいと思う。何せメリルは戦闘中ずっと回復術をバンバン使っているのだ。もう底が尽きかけていないか?


 確かに最前列で奮闘しているラルフには常に回復や補助が必要だろう。だがやルシェは元は一人で闘ってきたのだ、自分の限界は知っている。



「俺やルシェの回復は後回しだ。先ずはお前が倒れないようにしろ。後はラルフに目を配れ……あれじゃ自分でアイテムを使うなんて無理だろうしな」


「分かった。……えっと…MP回復は…エーテルだったかな?」


 ちなみに単体MP回復は「幸福」だ。そしてHP回復アイテムはポーションです。お馴染みだね。あ、グミもあるよ?ポーションより高いけど。子供でも食べれるよ♪が売りなんだって。


《メリルさんの作戦を「温存して闘え」と「最前列を回復」に変更されました》



 あれ?もしかしてメリルって主人公だけど戦闘采配とか苦手?それとも混乱してるの?君が主人公だよ?あっちの勇者(笑)みたいに号令かけないと……司令塔は君じゃないの?



 ん?そもそも主人公が皆に命令してるんだった?いや、主人公を操作してるプレイヤーが命令するんどけど……この場合誰が命令するのよ……あれ?




(もしかして……プレイヤーが居ないから誰も号令取らないで闘ってた? 作戦も「特になし」になったまま?)

《多分、恐らくは……》

『ゲームの世界観なのにプレイヤーが居ないからな。あっちの勇者(笑)は自分がプレイヤーとして動いている……メリルにはその意思がない』



 うあぁ……それじゃマトモに闘えないわけだよ。メリルには今後しっかりしてもらわないと……え?私?



(私はあくまで脇役。主役の役を取ったりしない。だって面倒だし)




 それに私はこの世界ではイレギュラー。メリルの物語を操作なんて出来ません。


 自分で何言ってるのか分からなくなってきたからこの話はまた今度。



 さて、とうとうルシェの最上級の魔術が次のターンで発動する。敵もそれを分かっているので止めようと必死だ。……え?危なくないのか?死ぬだろ?


 そこら辺は……ほら、ルシェも手加減するよ。



 いや、しないかな。だってアイツらチートだもの。例えエルフの里1の魔術の使い手の最上級魔術でも、戦闘不能になるだけだよ。ダメそうなら蘇生術でもかけるさ。



『実は物凄く怒ってるだろ?』

(さあ、どうかな)



《取り巻き2が詠唱開始、マスターのスキル「足止め」発動。発動により取り巻き2の詠唱中断しました》



「くっ……回復出来ない……」




 相手もバカの一つ覚えの様に上級ばかり唱えようとする。チートなんだから初級でも十分ダメージ通りそうだけど……もしかしてその考えに気づいてない?


 そう言えば、魔王の首をハネた時……それらしい戦闘はしていない的な事をメリルは言ってたような……戦闘馴れしてないのか?


 確かに取り巻き達はお嬢様、貴族が戦闘に出るかと言えば……ほとんど無いだろう。あったとしても余程のもの好きか、正義感のある者か、何らかの理由からかの何れかだろう。それも男性の場合だ。貴族女性、しかも嫁入り前のお嬢様を普通は出さないだろう。例え本人がそう望んでも。貴族女性は政治の道具としてみられている……家が許さないだろう。



 なら、どうしてこの取り巻き達は闘いに……あ、そうか。




「ロクに闘いを知らないのに良く家が許したな」


「煩い!」


「それも政治のためか……」


「くっ……」



《マスターの特殊スキル「会話」により相手の統率力ダウン。》



 あれ?これって……



《取り巻き1が詠唱開始、スキル発動により相手の詠唱中断。取り巻き1は意気消沈しました。1ターン休みです。》



 取り乱した?なに?状態異常?なんですかそれは。



「動けば中断される……もう、どうすれば……」



 あ、落ち込んでる。でもこれ自棄になって暴れたりしない?眠らせとこうか?ちなみに麻酔弾は持ってます。エルフの族長に「人間と対峙したとき」でも使うのじゃ」ってな具合に。助かったよ族長。エルフって不老だから私よりも少し上な外見だけどね。25歳程かな?




「おいまだか?」

「詠唱には時間がかかるのよ?」

「知ってるけどさ…」


「俺のターンの次だ。イチャつくなら終わってからにしろよ」


「「イチャついてない!!」」




《マスターの以下略…によりメリルとラルフの攻撃力+20》



 もう、喋っているだけでいいかも。ねえ?



「(あ、私のターン来たのか)」



 敵が次のターン一人休みなら今弓で射る気満々で構えている取り巻きから眠ってもらおう。


 私は右の銃を一旦しまい、リボルバータイプの銃を取り出した。この銃にはすでにちゃんと銃弾か装填されている。なんの躊躇もなく取り巻きの弓持ちに向けて撃つ。勿論麻酔弾ね。


 見事命中した。弓持ちの取り巻きは戦闘不能。それによって人数ではこちらが有利になった。あくまで人数ではね。


 それにしても、麻酔弾なら躊躇もなく撃てるのね……お金に余裕ができたら麻酔弾主体も考えておこう。もしかすると対人戦もこの先あり得る。



 にしても…だ。この麻酔弾……強いな……体には害がないと言ってたけど……転倒で頭とか大丈夫なのか?あ、チートならその辺大丈夫かも。




「う、撃った……」


「戦闘なんだ、当たり前だろ」


「………」


「まさか自分は攻撃されないとでも思ってたのか?そんな甘かないぞ」



《前略……敵の統率力ダウン。マスターの攻撃により取り巻き4は戦闘不能》



「なんて事を……撃ったのか!」


「余所見してんなよ!」


「ぐっ……」



 いや、お前らが先に仕掛けてきたんだろ。こうなっても文句は言えないだろ。常識ってものを学んでこい。

















 売られた喧嘩は買います。そもそも仕掛けられたら反撃するのがこの世界やファンタジーのお約束ですよね。迂闊に攻撃してはいけませんよ、例え異世界でもね。

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