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『ダンジョン配信のトップ層、まともな奴が一人もいない件』 〜規格外のソロ配信者5人が集まったら、同接1億の伝説パーティになりました〜    作者: うちの猫
愛染 恋 編

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新・第22話『純愛の過剰負荷(ピュアラブロード)』【前編】:『仮面を捨てた少女。本当の愛で世界2位へ』

あの涙の懺悔配信から、数日が経った。


 愛染恋――配信名【れん】の姿は、自宅の姿見の鏡の前にあった。 彼女は、これまでの自分を偽るための「武装」だった、あの派手できらきらしたパンキッシュ系の地雷服を、クローゼットの奥へと静かに仕舞い込んでいた。




代わりに身に纏ったのは、どこかスラムの境界に咲く桜を連想させるような、白を基調とした、清楚で美しい衣服。 そして、新しく買い直したメイク道具を手に取り、ゆっくりと、丁寧に顔に筆を走らせていく。


施したのは、これまでのバチバチのギャルメイクではない。自分の素顔を優しく引き立てるような、どこまでも自然で透明感のある「ナチュラルメイク」だった。 


あの日の夕暮れ、スラム街の路地裏で、ヒロくんが初めて「桜の花みたいできれいだ。可愛いよ」と、愛おしそうに褒めて撫でてくれた、あのすっぴんの時の自分に、いちばん近い、純粋なメイク。 




恋れんは、鏡に映る優しく微笑む自分のナチュラルな顔を見つめ、ピンクのツインテールを誇らしく、きゅっと結び直した。


「よしっ……! 待っててね、みんな。これが、本当のれんだよ⭐︎」 


彼女は、本当の自分のままで世界と向き合うために、ギルドから支給されたいつものおんぼろカメラドローンを従えて、力強く家を飛び出した。




◇ 




――ピツ、と起動音が響き、下層エリアへと続く薄暗いダンジョンの通路で、恋れんの生放送がスタートした。 


すっぴんに近いナチュラルメイクに、清楚な衣装。これまでの【れんたん】とは180度違う、嘘の仮面を完全に脱ぎ捨てたその姿に、通知を受け取って集まった数十万人のリスナーたちは、驚きながらも、温かい弾幕で画面を一瞬にして埋め尽くしていった。




「みんな、おつかれん〜⭐︎ ……えへへ、今日のれん、変じゃないかな? ギャルメイクをやめちゃったから、みんなに可愛いって思ってもらえるか、ちょっとだけ不安なんだけど……っ」




 恋れんは目の前の空間に浮かび上がる配信のコメント欄を見つめながら、少し照れくさそうに、けれど嘘のない真っ直ぐな瞳でカメラを見つめた。




『おつかれん!! って、ええええええっ!?』


『れんたんマジで年相応の美少女になってて最高なんだが!!』


『こっちのナチュラルメイクの方が100倍可愛いよ!!』


『衣装も清楚でめっちゃ似合ってる! 派手なのも良かったけど、こっちの方がずっと好きだ!』


『スパチャ¥5,000:本当の恋ちゃん、めちゃくちゃ綺麗だよ!!』




「みんな……本当にありがとう……っ。れんね、今までみんなのこと騙すために、自分の数字のためだけに、思わせぶりな全肯定ばっかりしてて……。本当にごめんなさい。でも、これからは本当のれんで、みんなとたくさん、ちゃんとお話ししたいな」




『騙されたとかどうでもいいくらい今の恋ちゃんが健気で推せる』


『前回の配信でみんな本当の恋ちゃんのファンになったんだよ!』


『不器用でもいいから、たくさんお話ししようぜ!』 


暗いダンジョンの下層を目指してのっしのっしと歩く道中。恋れんは、空中に浮遊するカメラドローンに向かって、視界に流れてくるコメントを一つ一つ丁寧に拾いながら、ありのままの言葉でリスナーたちと会話を交わしていった。


 今までのように、男たちを狂わせて利用するための計算されたファンサではない。自分の過去、自分の弱さ、そしてこれからの覚悟を、飾らない言葉でファンへと伝えていく。




「れんね、本当は一人でこの暗いダンジョンを歩くの、ずっと思い出すのが怖くて……すごく震えてたの。でもね、今は画面の向こうにみんなの言葉が見えるから、不思議と怖くないんだよ」




『俺たちがついてるからな!!』


『地の底でもどこでも、俺たちの目線(愛)はずっと恋ちゃんだけを見てるぞ!』


『年の離れた妹を見守るお兄ちゃんたちの集まりみたいになってて草』


『でもマジで安心感が違うわ。恋ちゃん、ゆっくり進もうな』




 一歩、また一歩と地の底へ進むたびに。恋れんと画面の向こうのみんなの中に、ソロ時代には決して存在しなかった、本物の、絶対に壊れない




『固い絆』




が、じわじわと、しかし確実に紡がれていく。 その時だった。通路の陰から、下層エリアの狂暴な魔物


『デス・ウルフ』が数匹、鋭い牙を剥いて飛び出してきた。「グルゥゥゥアアオオオッ!!」




『れんたん危ない! 魔物だ!!』


『メイクを変えたから、武装(能力)が下がってるんじゃ……!?』


『前はギャルの妄想で重力出してただろ!? 今の清楚な恋ちゃんで大丈夫なのか!?』




 コメント欄がパニックに陥る。これまでの彼女は、脳内の「可愛いギャルとして愛されたい」という歪んだ妄想を燃料にして能力を放っていた。それを捨ててナチュラルになった今、スキルの威力が下がっているのではないかと、誰もが息を呑んだ。 だが、恋れんは、もう魔物の視線に狂った幻影を重ねる必要はなかった。 


彼女の胸の奥には、今や嘘偽りのない、天国のヒロくんへの真っ直ぐな純愛。そして、今まさに画面の向こうから自分を必死に支え、見つめてくれている、沢山のファンたちへの本物の『信頼の愛』が、熱く、力強く漲っていた。




「みんな、心配しないで。今のれんは……前よりもずっと、強いんだから!」 


恋れんが両手をぎゅっと胸の前で握りしめ、自らの意思で、目の前の魔物たちへ向けてその力を解放した。 固有スキル【純愛過剰負荷ピュアラブロード】――嘘のない純愛とファンとの絆が深まったことで、その出力はソロ時代よりも遥かに爆発的に向上していたのだ。 




――ミシ、ミシミシミシッ!!! ボゴォォォンッ!!! 




空間が激しく歪み、漆黒の超重力が通路全体へズドンと降り注ぐ。「ぶふっ!?」とデス・ウルフたちが恋れんに触れることすら許されず、床へとペシャンコに叩きつけられ、その頑丈な肉体を一瞬にして粉々に粉砕されて消滅エフェクトへと変わっていった。


能力が下がるどころか、自分の意思で完璧にコントロールされた重力は、文字通り桁違いの破壊力を発揮していた。


「……あれ?」


恋れんは自分の両手を見つめた。


「暴走……してない……?」


以前なら、

愛だと勘違いした瞬間にしか発動しなかった。


けれど今は違う。


自分の意思で。


守りたい人を想いながら。


自分で重力を放てている。


「これが……本当の【純愛過剰負荷】なんだ……」



『うおおおおおお! 威力が上がってるぞ!!』


『ナチュラルメイクになったら重力がさらにヤバくなってて草』


『これが本当の「純愛過剰負荷」かよ……格好良すぎる!!』


『スパチャ¥50,000:今の恋ちゃん、名実ともに世界2位の最強ヒロインだ!!』


『マジで惚れ直した。計算なしでこの強さは本物の天才だわ』




 画面の下部は、リスナーたちの熱狂と大絶賛のコメントで狂ったように埋め尽くされた。 嘘の仮面を捨て、本当の自分のままで、名実ともに不動の『世界リアルタイム視聴者数第2位』の伝説へと、彼女は今、完全に上り詰めたのだ。




「ふぅ……⭐︎ よし、この調子で、もっと奥までパトロールにいこ――」 


ふと恋れんは画面のコメント欄を見つめ、小さく笑った。


「前のれんなら……きっと同接数しか見てなかった。」


「でも今は違う。」


「みんな一人ひとりが、ちゃんと見えてる。」


コメント欄には、


『行ってらっしゃい!』


『無理だけはするな!』


『俺たちも一緒だから!』


温かな言葉が流れ続けていた。


恋れんは胸元の星の結晶をそっと握りしめ、優しく微笑む。


「ヒロくん……れん、もう一人じゃないよ⭐︎」




恋れんが笑顔でコメント欄を振り返った、まさにその時。 ダンジョンの最深部から、世界を揺るがす未曾有の災厄が、牙を剥いて彼女へと襲いかかろうとしていた。

「続きを読みたい!」と思ってくれたあなた!


その気持ち、ブックマークで私に届けてくれると嬉しいな♡


「面白かった!」

「続きが気になる!」


そう思ってくれたら、【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてね!


あなたの一票が、私の物語をもっともっと強くしてくれるの!


感想も大歓迎だよ!

みんなの言葉、ちゃんと私に届いてるからね♡


それじゃあ――


次の物語でも、また会おうね♪


「ねえ……私のこと、忘れないでね?」


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