第14話【恋の楽屋トーク】
(※配信終了。カメラが止まり、しばらく静かな時間が流れる)
恋
「…………。」
(ソファに座ったまま、何も言わない)
ひより
「……恋ちゃん?」
恋
「……ん?」
ひより
「大丈夫ですか?」
恋
「大丈夫だよ……ちょっとだけ、昔のこと思い出しちゃっただけ。」
ひより
「そうですか。」
恋
「でもね。」
恋は自分のピンク色のツインテールを指先でくるくると弄る。
恋
「この髪、やっぱり可愛いよね?」
ひより
「はい。とても似合っていますよ。」
恋
「でしょー?ヒロがね、昔から『恋はツインテールが一番似合う』って言ってくれたの。」
ひより
「……だから、今でもずっとツインテールなんですね。」
恋
「うん♡れん、ヒロが可愛いって言ってくれたもの、ずっと大事にしてるの。」
ひより
「……なんだか素敵ですね。」
恋
「えへへ〜だからヒロって、やっぱり見る目あるよね。」
ひより
「そこですか?」
恋
「だって、れんを可愛いって見つけたんだよ?そんなの、見る目ありすぎでしょ。」
ひより
「まあ……それは確かに。」
恋
「でしょ〜?」
ひより
「でも恋ちゃん。」
恋
「ん?」
ひより
「今日のお話を見る限り、ヒロさんは恋ちゃんのことを本当に大切にしていたんですね。」
恋
「……うん。」
少しだけ、恋の笑顔が柔らかくなる。
恋
「ヒロはね、れんが何も持ってなくても、一緒にいてくれたの。」
「お腹が空いてても、汚れてても、髪がボサボサでもずっと、れんのことを可愛いって言ってくれた。」
ひより
「……。」
恋
「だからね、れんにとってヒロは、世界で一番大切な人なの。」
ひより
「……恋ちゃん。」
恋
「ん?」
ひより
「今の顔、配信中よりずっと女の子らしいですよ。」
恋
「えっ!?うそ!?」
ひより
「本当です。」
恋
「ちょ、ちょっと待って!今の顔、撮ってないよね!?」
ひより
「もうカメラは止まっていますよ。」
恋
「よかったぁ……。」
ひより
「そんなに恥ずかしいんですか?」
恋
「だって!!ヒロの話すると、胸がきゅーってなるんだもん!!」
ひより
「恋ちゃんにも普通に乙女な部分があるんですね。」
恋
「あるよ!?れんだって女の子なんだから!」
ひより
「失礼しました。」
恋
「もう!」
ひより
「でも……。」
恋
「?」
ひより
「そのヒロさんを助けるために、恋ちゃんは一人でダンジョンに入ったんですよね。」
恋
「……うん。」
ひより
「怖くなかったんですか?」
恋
「めっちゃ怖かったよ?ゴブリン一匹で泣きそうになったし。」
ひより
「それでも入ったんですね。」
恋
「だって。」
恋は当たり前のことのように笑う。
恋
「ヒロにプレゼントしたかったんだもん…。いつも貰ってばっかりだったから…だから今度は、れんがヒロを喜ばせたかったの。」
ひより
「……恋ちゃん。」
恋
「だから、怖くても頑張れた……まあ。」
恋は少しだけ頬を膨らませる。
恋
「結局、ヒロに助けてもらっちゃったけど。」
ひより
「そこは恋ちゃんらしいですね。」
恋
「むぅ。でも!」
恋はカメラの止まった方向を振り返る。
恋
「画面の向こうのあんたたちも、覚えておいてね!れん、昔はこんな感じだったけど。今はちゃんと強くなったんだから!」
ひより
「……そうですね。」
恋
「だからこれからも、れんのこと応援してよね?」
「【ブックマーク】と【評価】も忘れちゃダメだからね!」
ひより
「ちゃっかり宣伝するんですね。」
恋
「だって応援してもらえると嬉しいんだもん!」
ひより
「恋ちゃんらしいです。」
恋
「それじゃあ次回!」
「新・第15話――!」
『その少女、激重』――
「……あの日、ヒロがれんにくれたもの。」
「ずっと、ずっと大切にしてるんだ。」
ひより
「……恋ちゃん。」
恋
「ん?」
ひより
「それ以上は、次回のお楽しみですよ。」
恋
「あっ…そっか。じゃあ、内緒ね?」
恋は口元に人差し指を当てる。
恋
「画面の向こうのあんた、次回、ちゃんと見に来てね。」
「………ヒロがれんに遺してくれた、大切なもの
「……きっと、分かってくれるから。」
ひより
「それでは皆さん、次回――」
恋
「おつかれん〜⭐︎」
ひより
「……って、恋ちゃん!? それ次回予告というより完全に意味深な予告ですよ!」
恋
「……えへへ〜♪」
(楽屋に、恋の小さな笑い声が響く)




