第12話【楽屋裏トーク】
(※楽屋の扉がゆっくり開く音。床には砂埃、肩には戦いの傷跡。机の上には、再び起動したカメラドローンが静かに置かれる)
モスト
「……ふぅガイズ、待たせてしまったな。私は、自分がいなくても世界は平和になると思っていた。」
「私の言葉が争いを生み、私という存在が重荷になってしまったのだと、本気で思っていた。」
「だが、違った。私が見ようとしていなかっただけだったんだ。画面の向こうにも、画面のこちら側にも。私を信じ、帰りを待ち続けてくれたガイズが、こんなにも沢山いてくれた。」
「そして何より、私が教えた教えを、命懸けで守り抜いてくれた教え子たち、彼らの姿を見て、ようやく思い出した。」
「私は数字のために筋肉を鍛えたのではない。誰かを守るために、この身体を鍛え続けてきたんだった。」
(静かに笑う)
「ありがとう、ガイズ君たちのおかげで、私はもう一度立ち上がることができた。」
「これからも世界中の誰かが困っているなら、その前に立つ盾でありたい。それが、世界一位の配信者ではなく――一人の冒険者、モストの願いだ。」
(ドローンの電源が入り、小さく起動音が鳴る)
【楽屋の扉の向こう】
ひより
「……おかえりなさい。」
モスト
「ただいまだ、ひより嬢。」
ひより
「ふふっやっと言えました。ずっと、この一言が言いたかったんです。」
モスト
「長い寄り道になってしまったな。」
ひより
「はい。でも、その寄り道があったからモストさんも画面の向こうのみんなも。『本当に大切なもの』に気付けたんだと思います。」
モスト
「うむ。」
ひより
「だから今回は、誰も負けてませんアンチもファンも。教え子のみんなも。」
「そして、モストさんも、みんな少しずつ前に進めた、そんなお話だったと思います。」
モスト
「……ナイスバルクな締めだ。」
ひより
「えへへ、でも、一つだけ約束してください。」
モスト
「なんだね?」
ひより
「今度は一人で全部抱え込まないこと。ギルドのみんなも、教え子のみんなも…そして画面の向こうのみんなも。」
ちゃんと、モストさんの味方ですから。」
(少しの沈黙)
モスト
「……ありがとう。今度は、その言葉に甘えさせてもらおう。」
(ゆっくり立ち上がり、カメラへ向き直る)
モスト
「それではガイズ!」
「次回新・第13話『その少女、激重』【前編】:『「おつかれん〜⭐︎」涙のギャルの笑顔と、殺意を愛と呼ぶ狂気』でまた会おう!」
「グッドバイガイズ!!」
「――モーストォォ・マスキュラァァァアアップ!!!」
――バシィィィィィンッ!!!
ひより
「わーまたカメラがー!!次回からは愛染恋さんが主役の話ですー!」




