第11話【楽屋裏トーク】
(※誰もいない楽屋。返却したドローンが置かれていた机を、静かに見つめる音)
モスト
「……今日は、少しだけ静かだな。いつもなら『ガイズ!』と呼びかければ、画面の向こうから元気な返事が返ってくる気がしていた。」
「だが……私の言葉で争いが生まれてしまったのなら、それは教官失格だ。みんなに笑ってほしくて始めた配信だったのに、私が原因で悲しい顔をさせてしまった。」
「だから私は、一度この舞台を降りる。誰にも気づかれない地の底で、もう一度、自分の筋肉を鍛え直そうと思う。」
「……それでも。」
「今も押され続けている【ブックマーク】と【評価】だけは、不思議と私の胸へ届いてくるんだ。」
「ありがとう、ガイズ。それだけは最後に、伝えておきたかった。」
(静かに扉が閉まる音)
【楽屋の片隅】
ひより
「……あの、モストさん。そんな顔で一人で帰るなんて、ずるいですよ。みんなを救ってきた人が、一番自分を責めちゃダメじゃないですか。」
「コメントなんて全部が本音じゃないです。」
「でも。」
「『戻ってきて』って泣いてる人も、本当にいるんですよ。モストさんは今、その声だけ聞こえなくなってます。だから今は、それでいいです、少し休んで。」
「ちゃんと泣いて。」
「その代わり…帰ってくる場所だけは、私たちが絶対に守ってるますから。」
モスト
「……ひより嬢。私は、本当に戻ってきてもいいのだろうか。」
ひより
「もちろんだってモストさんがいなくなっても世界は回るかもしれません、ですがモストさんがいる世界の方が、私は好きだから。」
モスト
「…………。」
(少しだけ笑う)
「参ったな、その言葉は……どんなプロテインより効いてしまう。」
ひより
「えへへ。だから今日は休憩しましょう?」
「筋肉も心も、ちゃんと回復しないとですね。」
「それでは皆さん次回新・第12話『慈愛の重戦車、消える』【後編】:『大氾濫の絶望!教え子たちの叫びに応えて再び立ち上がれ』 でまたお会いしましょう。」
モスト
「……ナイスバルク。」




