第9話【楽屋裏トーク】
――ピッ、と配信終了のランプが消え、ギルドの訓練場に静けさが戻る。
モスト:「フゥ……ガイズ! 今日の『地獄のマッスルキャンプ』第一日目、本当にお疲れ様だ!
筋肉だけではなく、命の大切さも一緒に鍛える。それが私の教官としての役目だからな!」
モストは汗を拭きながら、大きなプロテインシェイカーを豪快に一口飲み干す。
モスト:「配信というものは、とても楽しく、素晴らしい文化だ。だが、画面の向こう側へ夢中になりすぎて、自分の命や仲間を見失ってはいけない。生きて帰ることこそ、冒険者にとって最高の『神回』なんだ。
……とはいえ!」
モストは突然、首を傾げて天井を見上げた。
モスト:「どうにも今日の訓練場は、途中から広背筋を押し潰すような、とんでもなく素晴らしい重力負荷を感じたのだが……最近のギルドは最新設備まで筋肉想いなのだな!実にナイスバルクだ!」
その瞬間――。
「全然ナイスバルクじゃありませんっ!!」
勢いよく控室のドアが開き、受付嬢ひよりが大量の書類を抱えたまま飛び込んできた。
受付嬢ひより:「モストさん! あれはギルドの訓練設備じゃありません!上の階で配信していた配信者さんのスキル反応です!解析班も大騒ぎなんですよ!」
モスト:「むむっ!? そうだったのか!私はてっきり、ギルド長からの新しいスクワットメニューかと……。」
受付嬢ひより:「そんな命懸けの設備、採用しません!」
モスト:「はーはっはっはっ!では後編では、その素晴らしい重力負荷……ではなく、未知の現象についてもしっかり調査するとしよう!」
受付嬢ひより:「笑ってる場合じゃありませんからね!?若手のみんなもいますし、何事も起きなければいいんですけど……。」
ひよりは少しだけ不安そうに吹き抜けの天井を見上げる。
一方モストは、その不穏な空気にも気付かず、腕を組んで真剣な顔で頷いた。
モスト:「安心したまえ、ひより嬢。どんな負荷であっても、筋肉は決して裏切らない!」
受付嬢ひより:「そこじゃないんですよ……。」
深いため息をつきながら額を押さえるひより。
そんな二人のやり取りに、配信終了後も控室の外で聞き耳を立てていた冒険者たちから、クスクスと笑い声が漏れるのだった。
モスト:「それではガイズ!後編では、世界1位の筋肉が未知の重力と正面から向き合うぞ!ぜひ【ブックマーク】と【評価】で応援してくれ!グッドバイガイズ、ナイスバルク!!」
受付嬢ひより:「皆さんも応援ありがとうございます!……あと、モストさんが後編でギルドの壁まで筋トレに使わないよう、私も全力で見張っておきますね(笑)。それではまた次回、新・第10話『その男、特別教官』【後編】:『最新の訓練設備!?階上から降ってきた無自覚な激重重力』でお会いしましょ!」




