第6話【楽屋裏トーク】
――ピツ、と配信ドローンの電源が落ち、控室に静かな空気が戻る。
モスト:「ハロー、画面の向こうで私の物語をスクロールしてくれたガイズ! 第6回の筋肉パトロールはどうだったかな?」
モストは私服姿のまま、いつもの特大プロテインシェイカーを豪快に振る。
モスト:「今日は商店街でキャベツをいただき、小さなお嬢ちゃんとも出会えて、実に実りある一日だった! ビタミンも筋肉も補給できたからな!」
そこへ、受付嬢ひよりが紙コップに入った温かいお茶を二つ持って入ってくる。
受付嬢ひより:「モストさん、お疲れさまです。」
モスト:「おお、ひより嬢! 今日も実にナイスティーだ!」
受付嬢ひより:「ナイスティーって何ですか……でも今日のお話、すごく素敵でした。」
モスト:「うむ?」
受付嬢ひより:「あの『モストマスキュラー』に、そんな理由があったなんて……私も初めて知りました。」
モストは少し照れくさそうに頭をかく。
モスト:「はーはっはっはっ! 大した話ではないさ。昔、一人の立派なマッチョに救われただけのことだ。」
受付嬢ひより:「その"大したこと"があったから、今のモストさんがいるんですよ。」
モストは少しだけ目を丸くする。
受付嬢ひより:「今日のお話を読んで、『あのポーズってそういう意味だったんだ』って思った読者さんも、きっとたくさんいます。」
モスト:「そうなら嬉しいな。」
少しだけ照れ笑いを浮かべる世界最強。
モスト:「私の筋肉は世界最強かもしれない。だが、誰かを救おうと思う心は、きっと誰にでも鍛えられる。」
受付嬢ひより:「……はい。」
モスト:「だからガイズ。もし今日、誰かに少しだけ優しくしてみようと思ってくれたなら、それだけで今日の筋肉のワークアウトは大成功だ!」
受付嬢ひより:「ふふっ。今日は珍しく、本当にいいこと言いましたね。」
モスト:「『珍しく』とは何だ、『珍しく』とは!」
受付嬢ひより:「だって普段は『プロテイン濃度』とか『受付バルク』とか言ってますから。」
モスト:「全部本気なのだが?」
受付嬢ひより:「そこがモストさんなんですよね、笑。」
二人は顔を見合わせ、小さく笑い合う。
モスト:「ガイズ! もし今日の物語が少しでも君の心に届いたなら、『高評価・ブックマーク』を、この私に叩き込んでくれ! 君たちの応援は、私の筋肉だけではなく、未来の誰かを守る勇気にも繋がるはずだからな!」
受付嬢ひより:「それでは皆さん!新・第7話【慈愛の重戦車】出動する。 【前編】:『ギルドの緊急警報!カメラの向こうで死にゆく若者たちを救え』のお話でお会いしましょう!」
モスト:「グッドバイ、ガイズ! 次回も元気に筋肉を鍛えて待っていてくれ!」
――そう言ってモストは、いつものように両腕を大きく広げる。
受付嬢ひより:「あっ……待ってください!」
モスト:「──モーストォォ・マスキュラァァァアップ!!!」
――バシィィィンッ!!!
控室いっぱいに響き渡る決めポーズ。
……しかし。
今回はドローンではなく、控室の壁に掛けられていた額縁が「カタッ」と少しだけ傾いた。
受付嬢ひより:「カメラじゃなくて今度は備品ですかーっ!!」
モスト:「おや? 今日はレンズは無事だったようだ!」
受付嬢ひより:「喜ぶところ違いますーーっ!!」
ギルド控室には、いつもの笑い声がいつまでも響いていた。
(第6話・公式あとがき 完)




