第97話
「連続で落ちているに、諦めてないでしょう?」
ヤーファは恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「どうしても、騎士団になりたいんです」
「あなたみたいな人は何人かいるのよね。それで辺境伯家で採ってみればと父上に言ってみたのよね。そしたら三年以上と言ってきてね。あなた今年で五回目でしょう? 辺境伯家の騎士にならない?」
ヤーファは頷くので精一杯だった。
キリーベルはウフッと笑い、ヤーファはキリーベルに敬礼して、詰所に戻った。
「ベルちゃんは、テストを受けている人の顔を一人一人覚えているのでありますか?」
「これでも嫡男だからね」
「嫡男なのに、婚約者はいなかったのでありますか?」
「もちろんその話はあったわよ? でも妹のドレスを着ている所を父上に見られてね、ひっくり返った後は何も言われなくなったわ」
「よくそれで廃嫡にならなかったのでありますよ」
「本当にそうね。父上は女装する嫡男に我が儘な娘に頭を抱えているわ」
ロキフェルドは大きなあくびをした。
「ロキ。眠いの?」
「本来なら彼。襲撃されて大怪我を負ってね。片目になるんだよ」
「え?」
「トゥーナがどこまで力を失っているのか、知りたかった」
「何を言ってるの?」
「僕は不調だから。トゥーナの番に任せようとは思ったけど。相手はまだ半神とはいえ、神だからね」
「ロキ。何を言ってるの?」
「ポヌリス」
トトトゥーナは目を見開く。
「覚えているだろう? ポヌリスを。トゥーナはほとんどの力を彼から奪い取ったけど、全部じゃない。残り少ない力で君を探している。奪われた力を取り戻すために。元々はトゥーナの力だけど、彼はそんなことは覚えちゃいない」
顔色が青くなるトトトゥーナを、ムイフレスは翼で包み込む。
「お前」
睨みつけるムイフレスに、ロキフェルドは人差し指を向けた。
肩に穴が開き、血が溢れ出る。
雑談していたキリーベルたちは無数の穴が開くムイフレスに気がつき、エリュシアは悲鳴を上げた。
騒ぎを聞きつけた警備兵がやってくると、ロキフェルドは目をやり、皆気絶する。
「これぐらい力が残っているんだよ。トゥーナの番。だからトゥーナの力がどれぐらいあるのか知りたかった。その結果ほとんど眠っているのが分かったけどね」
ロキフェルドはムイフレスに目をやる。
ムイフレスはロキフェルドを睨みつけるのだった。




