第93話
「腕輪じゃ駄目なの? 手錠をモチーフにした腕輪じゃないと駄目なの?」
「同族でなければ嫌がられるのは理解している」
どこか珍しくしゅんとしているムイフレスに、トトトゥーナは反省した。
「ごめんなさいなの。竜人族にとって大事な風習を。ムイが用意する手錠をモチーフにした腕輪を、ボク、身に付けるの」
ニヴェスはトトトゥーナの発言に驚く。
ムイフレスはうっとりしながら亜空間に手を入れて対になっている手錠をモチーフにしている腕輪を取り出した。
「実はもう用意してあるんだ。トゥにそう言ってもらえるなんて、嬉しいよ」
対になっている手錠をモチーフにしている腕輪に、エルアーノはうっとりとする。
「竜人族にとって手錠をモチーフにした腕輪は、私とあなただけという意味がある。同族以外だと嫌がられる傾向があり、相手の同族に合わせるのが最近の傾向だな」
「例えばどんなの贈るの?」
「私もそんなに知らないが、人族は指輪で獣人は櫛、エルフは木のスプーンで、ダークエルフは牙や骨で作ったペンダントだ」
「有角人は何を贈るの?」
トトトゥーナの質問にエヴェスは考える。
「確かヤスリだった気がする。有角人の角は伸び続けるから」
「種族が違うだけで風習もこうも違うなんて、面白いの」
「そうだな。トゥ。トトトゥーナ。本当に嵌めていいのか?」
対になっている手錠をモチーフにしている腕輪を持つムイフレスが眉を下げている。
トトトゥーナは左腕を差し出した。
「いいの」
ムイフレスはトトトゥーナの額にキスをすると、左腕に手錠をモチーフにしている腕輪を嵌めた。
「トゥ」
ムイフレスはトトトゥーナに対になっているそれを渡し、左腕を差し出す。
トトトゥーナはそれを左腕に嵌めた。
ムイフレスの魔力が手錠をモチーフにしている腕輪から感じる。
「言い忘れたが、これには互いの位置が分かるようになっている」
「本当に言い忘れたの?」
目線を逸らすムイフレスに、トトトゥーナはしょうがないな、と笑うのだった。




