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第81話

「こちらには証言者がいる。少し話を聞いてくれないか?」

エルアーノがカリンを見る。皆の目線がカリンに集まる。

カリンはゴクンと唾を飲み込んだ。

「あの人が、販売許可証が欲しければ、体を売れって、言いました」

小綺麗な男性にカリンが指を指すと、皆が手鏡を持つ小綺麗な男性を見た。

小綺麗な男性は違う、と叫ぶ。

エドモントは彼に近づく。

警備兵が新人のリタに彼の名前を聞く。それをリタは答えた。

「アーク・サンです。普段仕事をしませんが、販売許可証の手続きだけはします」

「なるほど。ちょっとあなたもきて下さい」

「私は無関係だ! イルだ! イルの字が確認されたんだから、イルだ! 私は違う!」

「話を聞くだけだよ」

エドモントがアークの肩に手を置いた。アークはその手を振り払う。

「うるさい! 彼女は嘘を言っているんだ! 私は知らない!」

「落ち着きなさい。話を聞くだけだから」

「風俗斡旋罪だぞ!? そんなの疑われただけで人生が詰むに決まっている!」

アークはカリンを見る。カリンはビクッと怯える。

「本当に私だったのか!?」

カリンは頷く。アークは頭を抱えると手鏡が手から滑り落ちた。鏡が割れてアークはひどく絶望する。犯人に疑われたよりも。

そこでカリンはあ、と思い出した。

「言われたとき、手鏡は持ってなかった」

そう言うカリンに、エドモントはそういえば、と思い出す。

「アーク君はいつも手鏡を持っていますね。持ってないことがないぐらいに」

「なるほどな。つまり犯人はイルの字を真似た上でアークに化けていた者だな」

ひょいっとトトトゥーナを抱き抱えたムイフレスが言った。

トトトゥーナは驚き、ムイフレスはトトトゥーナの額にキスをする。

「どうしてイルの字を真似たって分かるの?」

「証言者が現れても犯人に辿り着かないように二重に細工しているからだ」

「じゃあ犯人は分からないの」

ムイフレスはそうかな、と口元を緩める。

「人の姿に化ける魔方陣は難しいと言われていてな。だが少しぐらい間違えても発動はする。だがそれは三流だ。そして俺は一流だ。一流は三流を見分けられる。今ここで他人に化けていたことが仇になったな」

ムイフレスはリタに顔を向けた。

「さあ。何で今ここでその娘になっているんだ? 答えられるなら答えてみろ」

警備兵がリタの周囲に集まる。リタは首をひねる。

「何のことですか? 」

ムイフレスは指を向ける。

「三流は知らないだろうが、不完全な魔方陣で発動したものは、少し魔力を当てるだけで魔方陣は消え失せる」

紅の魔力がリタに向かって放たれる。

リタの姿が男性へと本来の姿にと解ける。

周囲は驚き、エドモントは呟く。

「副ギルマス」

警備兵が職員に男性の名前を尋ねる。職員は驚きながら答える。

「ラルス・スーンです」

ラルスは逃げられないことを悟り、ムイフレスに尋ねた。

「どうして分かった?」

注目がムイフレスに向けられた。

ムイフレスは気にすることはなく、トトトゥーナの顔中にキスを送っていた。

トトトゥーナは擽ったそうに笑うのだった。

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