第80話
「それで、どうしたんだ? これも縁だ。聞かせてもらえるか?」
「商人ギルドの人に、そんなに販売許可証はあげられないって。欲しかったら夜の相手をしろって。それならある意味花売りだろうって」
トトトゥーナとステラは首をひねる。
「ある意味花売りって、他に意味があるんですか?」
「体を売ることを花売りとも言うんだ」
トトトゥーナとステラは驚き、カリンは目線を落とす。
「私は、体を売ってません。友達 も」
「そのことを商人ギルドマスターに言ったのか?」
「言う機会がありませんでした。だから私と友達はモグリになったんですけど、友達の知り合いは言うことを聞いて販売許可証をもらったらしくて。そのまま流れるように娼婦になったみたいで、その商人ギルドの人がお客を斡旋したみたいなんです」
「知り合いって何歳か分かるか?」
「多分同い年だと思うので、十四歳だと思います」
エルアーノは深い溜息をついた。
「アウトだ。一発アウトだ。未成年は娼婦として働いては駄目だ。風俗罪だ。商人ギルドの職員も未成年だと分かっている上で客を斡旋したのなら風俗斡旋罪で捕まるぞ」
「何だか規模が大きくなったの。カリンたちは職員にそう言われて警備兵に相談しなかったの? ギルドマスターが駄目なら」
「すでに花を売ってたので、言えなかったです」
エルアーノは頭を抱える。
「売ってたか……まあ、言いずらいな」
「どうするの? 警備兵に上手いこと言って職員を捕まえてもらうの?」
「それが一番いいんだが、メレンゲクッキーの件があるからなぁ」
腕を組んでエルアーノは考える。
「よし。エドモントに放り投げよう」
商人ギルドが騒がしい。
「私じゃない! 私は違う! 誰か、誰か、私はそんなことをしていない!」
街中で声をかけてきた職員のイルが、警備兵に連行されようとしていた。
エルアーノは警備兵に近づいた。警備兵は警戒する。
「止まれ!」
エルアーノは首に下げている刻印プレートを警備兵に見せた。
「そ、それはっ!」
「へ?」
あまり分かっていない同僚にどういった物か分かっている者が叱咤する。
「馬鹿!! 騎士団様だっ!!」
分かっていなかった者は慌ててエルアーノに敬礼し、分かっている者も敬礼した。
エルアーノは刻印プレートを服の中にしまう。
「その者は何をしたんだ?」
「ハッ! 風俗斡旋容疑ででであります!」
「でが多いな」
「失礼しまました!」
二階から警備兵に連れられたエドモントが下りてきた。
イルはエドモントに顔を向けた。
「ギルマス! ギルマスは分かってくれますよね!?」
エドモントは目線を落とす。
「書類のサインが君の字だと確認された」
「ギルマス!」
エドモントはイルに目を向けた。
「私は信じている! 君の無実を! だが今は無実の証拠がないんだ。今は耐えてくれ」
エルアーノはカリンを見た。カリンはイルを見て首を振った。
「早く連れていったらどうなんだ?」
手鏡を片手に持ちながら髪を整える小綺麗な男性が二階から下りてくると、カリンは顔を青ざめながら指を指した。
「あの、人です」
「そうか」
エルアーノは手を叩いて注目を集めるのだった。




