第79話
短い時間でミーアはアクセルに懐いたようで別れる際は大泣きした。
エリザベータが抱き抱えて何とか店から出ることができた。
「後は孤児院を見るだけだな」
袖を引っ張られて振り向くと、アクセルが袖を引っ張っていた。よく見ると籠を持つ少女がいた。
「あの。お花いりませんか?」
エルアーノは懐から財布を取り出したとき、トトトゥーナが声を上げた。
「カモミール? それカモミールなの?」
「え? 名前は知りません」
「籠にあるの同じ花なの?」
「はい」
トトトゥーナはエルアーノを見る。
「ハーブティーが飲めるの。エルアーノ。籠の花ごと買ってほしいの。後でムイにお金を返すからお願いするの」
「私もハーブティーを飲ましてくれるならお金はいいが。そんなにいい物なのか?」
「リンゴのような香りと甘味でまろやかな口当たりなの。鎮静作用があり、イライラや興奮、緊張、不安など鎮めるの。それから生理痛や精神不安、不眠などにいいの」
「それはいいな」
エルアーノは目を白黒させている少女に紙幣を渡した。
「これで足りるか?」
「えっ!? こんなに!? ありがとうございます!」
「定期的に買いたいの。大丈夫なの?」
「え!? あ、はい。大丈夫です!」
「森で摘んでいるの? 魔獣とか大丈夫なの?」
「大丈夫です! あの。他の子が三人いるんですけど、その子たちもカモミール? を摘んでいるんですけど、買い取ってもらえませんか?」
エルアーノは眉を寄せた。トトトゥーナはエルアーノの変化に気がつく。
「どうしたの?」
「合わせて四人か。君は、君たち四人はモグリだろ?」
少女は言葉に詰まる。エルアーノは溜息をついた。
「カマをかけたんだか、そうか、モグリか。商人ギルドで商売の許可を受けるべきだ」
「でもでも」
顔色が悪くなる少女は籠を落とした。花が飛び散り、慌てて籠に花を入れる。
涙ぐむ少女の肩をエルアーノはそっと手を置いた。少女はビクッと驚く。
エルアーノは少女に魔方陣を構築する。少女は次第に落ち着いた。
「心を落ち着かせる魔方陣だ。少しはよくなったか?」
「ありがとうございます」
「私はエルアーノ・エルロラン。番のアクセル・フィールドに、その妹のステラ。そして今はいない竜人族の番のトトトゥーナだ。名前を伺っても?」
少女は頷き、花を拾い上げた。
「カリン・エッファです」
アネモネが泣いたので、アクセルは宥めるのだった。




