第78話
「ユージーンは私たちの父親です」
「あんた。よく見るとメリーシャに似ているね。そう……。二人は諦めなかったんだね」
ステラは眉を下げて、頭を下げた。
「父と母がご迷惑を──」
「ママ?」
奥の部屋から女の子が出てきた。耳の先は尖っており、褐色の肌をしている。
美しい女性は女の子を抱き上げた。
「昔のことだ。水に流してやる。当時は彼を追いかけていたが、気づいたらこの地に流れ着いて、ダークエルフと人族のハーフである服屋の主人と結婚したのさ」
「ママ。お姉ちゃんは?」
「お姉ちゃんなら昨日結婚したじゃないか。お嫁さんになったんだよ」
「もう帰ってこない?」
「さあ? 喧嘩すれば戻ってくるんじゃないか? ママちょっと仕事だから、しーしーできるか?」
「できるもん」
「悪いね話の途中で。とにかく何だっけ? まあ、そんな感じだ。だから私の前にユージーンが現れたかと思ってびっくりしたよ」
奥の部屋のドアを開けた。
「奥の部屋は二階と繋がっていてね。二階は居住になっているんだ。二階でミルクとおしめを替えてきていいよ。まだ下の子のものが余っているはずだから、使っていいよ。ミーア。教えてあげられるか?」
「うん!」
美しい女性はミーアと呼ぶ女の子を下ろすと、女の子はアクセルの手を掴んで二階に行った。
「改めて私はエルアーノ・エルロランに、先程行ったのが私の番であるアクセル・フィールドにその妹のステラ。そして竜人族の番のトトトゥーナだ」
「これはこれは失礼した。私はエリザベータ・ヴェネッタだ。さっきの娘がミーアで、昨日結婚式を挙げたルーアって言う上の娘もいる」
「ヴェネッタもどうだ? 一週間後に美味しいパンの試食があるのだが」
「私もいいのかね? それにミーアはまだ小さいし」
「わたしは気にしません。それにミーアちゃんも連れてきて大丈夫だと思います」
見守っていたキリーベルとエリュシアはホッとする。
「場所は何処でやるのかしら?」
「〈赤い屋根のパン屋〉だ」
「あら。そこでやるの? 大丈夫なのかしら?」
「ベルちゃんは知っているでありますか?」
「まあ、マズくはないけど、特別美味しい訳でもないわね。まあ、他のパン屋も同じことが言えたことたけど」
「そういえば、メリーシャの許嫁もこの地で商人ギルドマスターなんかやっていたけど。そっちには会ったか? あっちも母親のことは諦めているはずだ」
ステラははい、と答える。
「今は母の幸せを望んでくれてます。だからわたしが母の代わりに、責任を持ってギルドマスターさんの許嫁になりました」
エリザベータはきょとんとし、そして大笑いをするのだった。




