第71話
「こいつらどうすーるーの?」
ムイフレスがギムガントンを亜空間にしまうのを見ながら、グレンアーグはまだ息がある黒ずくたちに向けて言う。ギムガントンの太い腕で叩きつけられて動きそうにもない。
「森に置いたら森が処理してくれるわよ」
リデルエリエーゼは無数のぬいぐるみを消しながら言う。
ムイフレスはそうだな、と肯定するとステラが彼らの前に立った。
「彼らは洗脳を受けているだけかもしれません」
「ステラ……」
エルアーノはムイフレスに顔を向けた。
「ベルベルト。上の者の判断に委ねよう」
「生贄の人が死んでしまったの」
そう呟くトトトゥーナにエルアーノとステラは目線を落とした。
「上に判断を委ねるか。だがどうやって連れていくか。面倒だな」
「なら私のぬいぐるみを貸してあげるわ」
そう言ってリデルエリエーゼは蛙のぬいぐるみを黒ずくめたちの頭上に投げると、口を大きく開けた蛙のぬいぐるみが黒ずくめたちを飲み込んだ。
元の大きさに戻った蛙のぬいぐるみが落下するのをリデルエリエーゼが受け止めた。
それをムイフレスに差し出す。
「凄いの!」
それをトトトゥーナが受け取る。
リデルエリエーゼははしゃぐトトトゥーナに微笑む。
「ぬいぐるみは私が作ってるのよ」
「え!? 本当なの!? 凄いの!」
「本物は子供を飲み込むぐらいの大きさなのよ」
「え!? 子供を!?」
「そう。それを夜の妖精だからって理由で、しかも異分子だから私が子供を連れていってるって思われてね。それで殺されそうになった記念で作ったのよ」
トトトゥーナは顔を引きずる。
そっとグレンアーグがリデルエリエーゼを抱き寄せる。
リデルエリエーゼは抱き寄せられたことに顔を真っ赤にさせてグレンアーグを押し返す。
「随分昔のことよ」
「傷ついた心には関係ないだろう?」
リデルエリエーゼはグレンアーグから顔を逸らす。
「あの! 助けてくれて、ありがとうございました!」
リクが頭を下げた。
エリアーノはリクの頭を撫でた。
「無事でよかったな」
リクは涙ぐんだ。
ノックに、執務室で落ち込んでいたドルトは返事をした。
「入っていいぞ」
中に入ってきたリクにドルトは目を見開く。
リクはおどおどしながらドルトに頭を下げた。
「すみませんでした!」
ドルトは深く息を吸い込み、吐いた。
ドルン工房から立ち去る中で、トトトゥーナはムイフレスに聞いてみる。
「受け入れてもらえるかな? ムイはどう思う?」
「大丈夫だろう」
「そうだったらいいの」
「疲れたわ。私は先に帰るけど、私のお人形さん。プンクリンを受け取ってきてちょうだいね」
リデルエリエーゼはトトトゥーナたちにスカートの裾を軽く持ち上げると、足元に魔方陣が構築していき、消えていった。
グレンアーグは肩を竦めるのだった。




