第70話
ギムガントンが炎を吐く。
ステラがそれを魔方陣で防ぐ横からアクセルが駆け出していく。
ムイフレスは魔方陣を構築して炎の剣を放つ。
ギムガントンは太い腕で身を守る。炎の剣は太い腕に突き刺さり爆発する。肉片と血が飛び散り、アクセルはそれらを浴びながら傷口が塞がっていく太い腕を剣で切り落とした。
ギムガントンは咆哮を上げる。そしてジロッとアクセルを睨み、傷口から噴き出す血を撒き散らしながら残った片腕でアクセルを叩きつけようとしたが、アクセルの頭上に魔方陣が構築されギムガントンの太い腕を弾き返した。ステラが手を伸ばして魔方陣を構築していた。
アクセルは無数の魔方陣を構築していき、魔方陣から剣を持った骸骨が溢れ出てきた。
一斉にギムガントンに襲いかかり、剣を突き刺したり切りつけたリする。
ギムガントンは無数の骸骨を振り払い、粉々にする。
その隙をついてアクセルはギムガントンに飛び乗り、剣で脳天を突き刺した。
ギムガントンは体を仰け反り、アクセルを落とす。
着地するアクセルの前にギムガントンが倒れる。
息を荒くするギムガントンの前に、トトトゥーナがムイフレスと共に歩み寄ってくる。
「次は異分子ではありませんように」
口元に手を添えて、トトトゥーナは息を吹きかけた。
ギムガントンは息を吐き、吸うことはなかった。
アクセルは手で浴びた血を拭う。
ムイフレスはトトトゥーナを抱き抱え、エルアーノとステラがアクセルに駆け寄っていく。
「兄さん?」
ステラが恐る恐る呼びかける。
「ステラか」
アクセルははっきりとした態度で呼んだ。
ステラは涙ぐみ、エルアーノがアクセルを呼ぶ。
アクセルはエルアーノに顔を向けた。
「お前は間抜けだな。こんな俺に付き合うのだから」
「私とアクセルは番だ。苦なんてない」
「俺にとって番は邪神の前では無だった。ステラ」
アクセルはステラを見る。
「俺は選ばれたお前を生贄にするしか考えられなかった」
「兄さん。洗脳が解けたんですか?」
「……いや。今でも邪神によって幸せになれると、思っている。まだ洗脳は残っているな。だが、お前を生贄にすることしか考えられなくて、悪かったな」
ステラは涙を流してアクセルに抱きついた。
「兄さんは何も悪くありません! 私の分まで兄さんは洗脳を受けたんです!」
アクセルはステラの背中を摩り、エルアーノを見る。
「ステラを頼むな」
「アクセル……」
頭を押さえるアクセルに、エルアーノとステラは呼びかける。
アクセルはぼんやりとなった。ステラはリデルエリエーゼに手を組んでお願いした。
「また癒して下さい!」
エルアーノもリデルエリエーゼを見る。
リデルエリエーゼは肩を竦めた。
「意味がないわ」
ステラは眉を下げて、ぼんやりとするアクセルを見るのだった。




