第69話
「厄介極まりなーいね」
「再生能力が面倒ね」
一つのぬいぐるみを撫でながらリデルエリエーゼが言う。
「元々夜の妖精は癒すのを得意とするのよね」
「戦えるリディはキュートだーね」
「あなたぐらいよ。異分子の私にそう言うのは」
「光栄だーね」
リデルエリエーゼはプイッと顔を逸らし、ふとぼんやりしているアクセルを見る。
「彼。随分とぼんやりしているわね」
「兄さん記憶喪失なんです」
「私が癒してあげましょうか? 一時的なら記憶が蘇るかもしれないわ」
「それは……」
ステラは困った顔でエルアーノを見た。
エルアーノも困った顔になる。
「記憶を取り戻しても、仲間になるのか不明だな」
ムイフレスが二人が言いたいことを言った。
「ならどうするのよ?」
「敵になったら厄介だーよ?」
ギムガントンが炎を吐く。
ステラは防御の魔方陣を構築する。
「前衛職がいなーいのなーら、一か八かやってみよーよ」
エルアーノはどこか不安げになりながらも頷いた。
「じゃあ癒すわよ?」
エルアーノたちは頷く。
アクセルの足元に魔方陣が構築していき、リデルエリエーゼは歌った。
それは妖精の言葉であり、聞いているだけでも癒される。
だがアクセルにとって苦しみだった。
顔を歪め、頭を押さえる。
リデルエリエーゼは歌うのをやめた。
アクセルは頭を押さえながらよろめく。
「兄さん!」
「アクセル!」
エルアーノとステラがアクセルを支える。
アクセルは頭を押さえて苦しむ。
「アクセル大丈夫か!?」
リデルエリエーゼにエルアーノは言い寄る。
アクセルから目を逸らすリデルエリエーゼを守るようにグレンアーグが立つ。
「そこをどけ!」
「落ち着いて」
「アクセルが苦しんでいるんだぞ!?」
目線を落としたリデルエリエーゼは謝った。
グレンアーグは振り向いてリデルエリエーゼの手を取る。
「リディ」
「私は異分子だから。だから──」
「兄さん!?」
アクセルは魔方陣を構築して手の中に剣を握りしめる。
ステラは眉を下げる。アクセルの目はギムガントンを捉えていた。




