第6話
傷が塞がっていくことにムイフレスは舌打ちする。
「ルパート。もう一度行けるか?」
魔方陣を構築しながらムイフレスは問う。
ルパートは魔方陣を構築して手の中に槍を握りしめて頷く。
ムイフレスはグレンアーグに目をやった。
「時間稼ぎを頼めるか?」
グレンアーグは頷き、魔方陣を構築させた。
「いつでもいいでさーあ」
トトトゥーナはムイフレスから離れようとしたが、強く抱きしめられた。
「ボク、邪魔じゃない?」
「そんなことはないよ」
「でも。ボク。何もできないの」
「側にいるだけで、それだけで俺は幸せだ」
額にキスをするムイフレスに周りは目を逸らす。
ルパートは駆け出し、ギムガントンの真上に飛び乗り、槍を太い腕に突き刺した。
ギムガントンは鳴き、ルパートを掴もうと太い腕を上げようとしたが、上がらない。
その隙にルパートは槍で太い腕を突き刺していく。腕が上がらないのはグレンアーグの魔方陣によるものだった。
「離れろ!」
ムイフレスは声を上げた。ルパートはギムガントンから飛び降りると、巨大な炎の玉がギムガントンに放たれ、爆発する。
ギムガントンの太い腕の肉片が飛び散り、ルパートは木に激突する。
「さずが異分子だ」
舌打ちするムイフレスはさらに魔方陣を構築し、魔方陣から炎の剣が放たれる。
ギムガントンに炎の剣が突き刺さり、血が溢れる。
炎の剣は爆発し、ギムガントンは倒れ込んだ。
「ムイフレス。下ろして」
「どうしたんだ?」
「何人もの人を殺しているのは分かっているけど、お願い。ムイフレス」
ムイフレスは笑いかける。
「お願いを聞くのは番の役目だ。」
そっと、ムイフレスはトトトゥーナを下ろした。大切そうに。
トトトゥーナは、死んでいくギムガントンに眉を下げた。
「次は異分子ではありませんように」
口元に手を添えて、トトトゥーナは息を吹きかけた。
それは女神だったときの名残。小さな奇跡を呼び寄せる、おまじないに近いそれ。
ギムガントンは深く息を吸って、吐くことはなかった。
トトトゥーナは抱き抱えるムイフレスを見た。愛おしそうに額にキスをされるのだった。




