第5話
「分かり切ってることをよくやるな」
エルアーノがルパートに呆れ返る。
「たとえ隊長の番が敵相手だろうとも、番に変わらないだろうに」
グレンアーグは笑う。
「やーらなくていい苦労をすーるねーえ。まあ、そこがルパートだけどねーえ」
口を腕で拭うルパートは鼻を鳴らす。
「森の中ならいざ知らず、空の上だぞ。怪しすぎるだろう」
「それで殺されても文句は言えないーね」
グレンアーグは周りを見回す。
「まだ、三人は戻ってきてないーの?」
「新人が二人いるんだ。慎重に行っているのだろう。我々のときもそうだっただろ? 私は覚えているぞ」
「えー? 忘れちゃったよーお」
「お前は失敗して待機している班の所まで魔獣を連れてきたな」
轟く咆哮に、木が倒れる音がした。
「どうやら失敗したようだな」
音の方向にムイフレスは冷静に言う。
エルアーノたちもその方向に構え、グレンアーグは空高く飛ぶ。
木が薙ぎ倒されながらこちらに向かってくることをグレンアーグが伝える。
ムイフレスは音の方向に手を伸ばし、魔方陣が構築させていく。
魔獣が姿を現した。太い腕を持つ魔獣が迫りくる。
魔方陣から炎の玉が放たれるが、魔獣は太い腕で防御する。だが、爆発する。肉が裂けることに雄叫びを上げる。
トトトゥーナは翼の間から戦闘を見る。
魔獣は木をへし折り投げつけてきた。
それを魔方陣で防ぐ。
魔獣は息を吸い込み、炎を吐いた。
魔方陣が炎を防ぎ、その間にも裂けた肉が塞がっていく。
魔獣の真上にルパートが飛び乗った。
魔方陣を構築して手の中に槍を握りしめ、裂けて塞がっていく太い腕に突き刺した。
咆哮を上げ、魔獣はルパートを掴み投げ飛ばした。それを空中でグレンアーグが受け止めてムイフレスの後ろに下ろした。
「傷が塞がっていきますね」
ルパートが炎の玉を放すムイフレスに声をかけた。炎の玉は魔獣の太い腕に命中し爆発する。
「異分子だな。通常ならばBランクの魔獣だが、異分子でAランクだな」
「あの」
トトトゥーナが声を上げた。
ムイフレスは愛おしそうにトトトゥーナの額にキスをする。
「どうしても倒さないといけないの?」
「ああ。ギムガントンという魔獣なんだが、すでに冒険者数人を殺している」
トトトゥーナは息を飲むのだった。




