第64話
アリサは首に下げていた笛を服の中から取り出す。
「リーがくれた物よ。それで? どうしてリーに会いたいのよ?」
「お前に関係がないことだ」
「何よ。なら呼んであげないんだから」
ムイフレスの言葉にアリサはフンと顔を逸らす。
「あの!」
ステラが前に出て涙ぐむ。
「もしかしたら生贄になっている人がいるかもしれないんです! お願いします! 妖精さんを呼んでもらえませんか!」
アリサは目を丸くして、笛を吹いた。
ピ──!
魔方陣が浮かび上がり、そこからリデルエリエーゼが現れた。
リデルエリエーゼはアクセルを目にして糸を出すが、赤ん坊を背負い、雰囲気が変わっていることに首をひねった。
「リー!」
呼ばれたことにリデルエリエーゼはアリサを見る。
「どうしたのかしら? 笛なんて滅多に吹かないのに」
「何かよく分からないけど、生贄についてリーに知りたいみたいよ!」
「生贄?」
リデルエリエーゼはステラを見る。ステラは涙ぐみならが言う。
「わたし以外に生贄にされた人がいるみたいなんです! 何か知りませんか!?」
「道理で妖精たちがまだ騒いでいるはずね。五月蝿くて五月蝿くて。今私のお人形さんがその場所に行ってるのよね。そう。まだいたの」
「そこは何処ですか!?」
「さあね。私よりも」
リデルエリエーゼはトトトゥーナを見た。
「彼女の方が分かるんじゃないかしら?」
「ボク?」
目を丸くするトトトゥーナにリデルエリエーゼはええ、と答える。
「あなたなら波長を見つけられるんじゃないかしら? だってそこのエルフのお嬢さんを憎悪の中から引きずり出すことができたんですもの。普通は憎悪に引き込まれてしまいかねないわ」
トトトゥーナは目線を落とす。
憎悪に引きずり込まれなかったのは、トトトゥーナが邪神だからだろう。
「私が波長を探してあげる」
ムイフレスがリデルエリエーゼを睨みつけた。
「見返りは何だ?」
リデルエリエーゼはにとりと笑った。




