第63話
アクセルはエルアーノの裾を掴んで離さない。
「アクセル……」
「行く。行く」
「わたしも行きます」
アクセルとステラの主張にエルアーノは頷き、マシューを見た。
「お前は戻って明日の準備をするんだ」
マシューは神妙な顔で頷く。
そしてリクを見る。
「お前も帰れ」
帰れという言葉にリクは目線を落とす。
「そうだよリク。親方に謝って戻りなよ。親方はリクを右腕に育てたかったみたいなんだせ?」
リクはマシューに顔を向ける。
「右腕って本当なのか?」
「親方が言ってた」
「でも……」
マシューはリクの背中を叩く。
「駄目だったら孤児院に戻ってこいよ! きっと院長なら許してくれるはずだぜ!」
リクは泣きそうな顔になって頷いた。
親方に謝る。
そしたら許してもらえる。
そう希望を持ってドルン工房に向かうが、黒ずくめたちに囲まれた。
リクは泣きそうになった。
親方に会えないと。
気絶させられる中で、甘いお菓子を食べているドルトの姿が思い浮かんだ。
〈赤い屋根のパン屋〉の当番を暇にしていた少女は、新しい友達のお人形が店の中に入ってきたので、声をかけた。
「こんにちはグレンアーグ。あなたが裏口じゃなくて店の中に入ってくるなんて、珍しいわね。リーは一緒じゃないの?」
「私はエルアーノだ」
「えっ? 双子?」
「そうだ。グレンアーグはよくここにくるのか?」
「そうよ。リーと一緒にだけど」
「リデルエリエーゼのことか?」
「そうよ。リーにご用?」
「呼べるか?」
ムイフレスの質問に少女は頷く。
「ええ」
トトトゥーナは自己紹介すると、少女はにこりと笑った。
「あたしはアリサ。この店の看板娘よ」




