第58話
羊皮紙に契約内容を記入し、まずはエドモントがサインし、トトトゥーナがサインしようと契約内容を見ると、文字が読めないことが判明した。
「マシューが契約するの」
いきなりな指名でマシューは驚く。
「オレ? オレでいいのかよ?」
エドモントはにっこりと笑う。
「構いませんよ」
マシューは契約内容に目を通して、羊皮紙にサインした。
「ありがとうございます」
エドモントは羊皮紙の一枚をマシューに渡した。
マシューは受け取りどうしようかと困っていると、エルアーノが魔方陣を構築させた。
「これは亜空間の魔方陣だ。どうだ? 構築できるか?」
マシューは完璧に亜空間の魔方陣を構築させた。
マシューは喜んで魔方陣に手を入れる。
だが眉を寄せた。
「狭い 」
エルアーノは笑う。
「それはそうだろう。魔力の多さで決まるからな。子供の魔力ならそれぐらいだろう」
「姉ちゃんはどのぐらいなんだ」
「そうだなぁ。竜の二匹分ぐらいだな」
「すげー」
トトトゥーナは思い出す。
「あ。そうだ。これ街で売りたいの」
「でしたら露店はどうですか? 場所代と売り上げの一割を一ヶ月ごとに納めてもらいますが」
「場所代っていくらなの?」
「五千ルンです。それと売り上げの一割です」
「なるほどなの」
「因みに商人ギルドへ販売の許可を受けていないモグリは、風紀を乱した罪で捕まってしまうのであしからず」
エドモントはステラに目を向けた。
「失礼ですが、母親はメリーシャ・ピットンですか?」
いきなり声をかけられたことにステラは驚くが、母親の名前にさらに驚いた。
「そうですけど」
「やはりそうでしたか。母親に似ているので、そうではないかと思ったんですよ」
「母を知っているんですか?」
「ええ。許嫁でした」
ステラは目を丸くする。
「彼女を追いかけて私も里から出ましたが、気がついたら商人ギルドのギルドマスターをしていて、許嫁だった彼女の娘さんに出会うなんて、世界は広いようで狭いですね」
「母を、憎んでますか?」
「一時は彼女を何をしても連れ戻そうと考えていましたが、今は彼女の幸せを望んでいますよ」
「どうしてそう思えたんですか?」
「商人ギルドのギルドマスターをする中で、お金がある幸せを知ったからでしょうね。お金は裏切りませんので」
ステラは顔を引きずる。
「彼女は幸せに暮らしているのでしょうか?」
「だと、思います」
邪神教に入団したと、ステラの口では言えなかった。
エドモントはそうですか、とそれ以上は踏み込んでこなかった。
「赤ちゃんに必要な道具一ヶ月で三千ルンで貸しますけど、いかがですか?」
トトトゥーナは首を振る。
「これからのことを考えて買って揃えるの」
「なるほど、なるほど。では送料は無料で、一万五千八百ルンになりますが」
「相場の値段なの?」
「ええ。商人ギルドが保証しますよ。長年契約させて頂いてます職人さんたちでして、赤ん坊の目線になって安心安全をお約束します」
トトトゥーナはムイフレスを見る。
「買ってほしいの」
「トゥが望むなら」
エルアーノが待ったをかけた。
「アネモネが使うのだろう? なら私が払おう」
エドモントはにっこりと笑った。
「お買い上げありがとうございます」
「あの。ギルドマスターさん」
真剣な顔のステラに、エドモントは何かと真剣になる。
「どうしましたか?」
「母の代わりに、わたしが責任を持ってギルドマスターさんの許嫁になります」
「へ?」
エドモントは目を白黒させるのだった。




