第56話
鉄板が冷めるまで放置して、無事メレンゲクッキーを取り出せた。
エルアーノが唇を舐め回していると、アクセルがメレンゲクッキーを口元まで持ってきた。
「エル。エル」
エルアーノは顔を赤く染め、口を開けて食べる。エルアーノは目を瞑り、うっとりとする。
「あったはずのものが一瞬で溶けて、白身の僅かなコクを伴った砂糖の甘味が広がっていく」
子供たちはうっとりとしながらメレンゲクッキーの感想を言うエルアーノを見て、メレンゲクッキーに次々に手を伸ばしていく。
そして口に入れてうっとりとする。
「美味しそうですね」
院長室からカーターが出てきた。
子供たちが一斉に涙ぐむ。
「おやおや。どうしたんですか?」
「院長が全裸で捕まっちゃうのは、嫌だよぉ」
「へ? 私は全裸になんてなりませんよ?」
コゼットが子供たちの代わりに説明すると、カーターは大笑いした。
「角が折れていても捕まりませんよ」
涙を拭うカーターの否定に子供たちは安心する。
「角を折る行為は全裸になるのと同じじゃないさね?」
「それは合ってますね」
「合ってるさね!?」
「今はもう慣れました。むしろ折らないと落ち着かないですね」
コゼットは目を白黒させる。
カーターはフフフと笑い、メレンゲクッキーを手に取ると、口に運んだ。
「美味しいですね」
カーターはコゼットの頭を撫でると、子供たちのことも撫でていき、院長室に戻っていった。
「院長変態だ。オレたちのせいで変態になっちゃった。他の有角人が院長を見たら変態に映るだろうな」
マシューが心配すると、ムイフレスが何でもないかのように言う。
「有角人は角が魔法薬の材料になるからそれを狙った人族によって乱獲された結果絶滅危惧種になったからな。そう簡単に同族と出会えないだろう」
コゼットたちは暗い顔をする。
「有角人が院長をよくやるものだな」
エルアーノは感心する。
「エル。エル」
アクセルがエルアーノの口元にメレンゲクッキーを持ってきた。エルアーノ は照れながらクチを開けてパクリと食べる。
「美味しいよ」
アクセルに笑いかけると、アクセルもにっこりと笑った。




