第53話
長い紐でアネモネを背負うアクセルは、エルアーノににっこりと笑った。エルアーノはドキッとして、にこにこ笑うアクセルにどきまきする。
「どうしたんだ?」
「エル一緒。一緒にいて嬉しい」
エルアーノはエヘヘ、と照れる。
「私も、私もアクセルといられて嬉しいよ」
遠巻きに子供たちが見ている。
「子供たち。おいで」
エルアーノが子供たちを呼び寄せる。子供たちは恐る恐る近づいてくる。
「今からお菓子を作るよ。上手く行ったら売れるから、ちゃんとお姉ちゃんの言うことを聞くんだよ」
子供たちはトトトゥーナにぺこりと頭を下げる。誰もムイフレスに抱き抱えられている理由を聞かない。柔軟こそ子供たちの処世術なのだろう。
「まず手を洗うの」
「手、汚れてないけど」
子供たちは首をひねる。
トトトゥーナが困ると、ムイフレスが子供たちを睨みつける。子供たちは睨まれて固まる。
「い、言われたことやろうぜ」
何とか動き出した男の子が言う。他の子供たちより背が高い。
他の子供たちは言われた通りに手を洗う。
トトトゥーナは男の子を見る。
「ありがとうなの。君の言うことなら聞くみたいなの」
「一応オレが一番年上だからな。オレの名前、マシュー・レイガンってんだ。よろしくな先生」
マシューは照れ隠しに手を洗う。
トトトゥーナは子供たちが手を洗うのを見回して、言う。
「お菓子を作る前は手を洗うの。手が汚れてなくても、見えない汚れがあるの。それが口の中に入るとお腹を壊すの。だからよく手を洗うの」
エルアーノは魔方陣を足元に構築すると、魔方陣は頭上まで浮かび上がった。
「それなら浄化の魔方陣がいいだろう。来なさい子供たち」
呼ばれた子供たちがエルアーノの元に行くと、魔方陣を構築させて子供たちを浄化させていく。
ピカピカになった子供たちにエルアーノは満足そうに頷く。
「浄化の魔方陣は覚えた方がいいかもな」
「オレ、今ので覚えたよ」
「何? 今ので覚えたのか?」
「うん。ほら」
そう言ってマシューは浄化の魔方陣を構築する。完全な魔方陣だった。




