第50話
子供たちはまた遊びに戻っていき、そんな子供たちに優しい眼差しを向け、トトトゥーナとムイフレスに顔を向けた。
「紹介が遅れましたね。私はここの院長をしております。カーター・ミラーと申します」
「トトトゥーナなの」
ムイフレスはいつまで待っても名乗らないので、代わりにトトトゥーナが名乗った。
カーターはムイフレスが自身に興味がなくても嫌な顔もせず、にっこりと笑った。
「孤児院のために色々と考えて頂いてありがとうございます」
「あの!」
ステラがカーターの前に出た。カーターは優しげな顔を向ける。
「どうしましたか?」
「わたしと兄さんをここに置いてくれて、ありがとうございます。ご迷惑にならないようにしますから」
カーターはにっこりと笑い、ステラの頭を撫でた。ステラは気恥ずかしそうに笑った。
「さてさて。色々と決めておきましょうか。売る値段とか売る路線とかね」
「その前に売れるさね」
「おやおや。そんなことを言ってはいけないよ。番さんは私たちのために考えてくれたのだからね。私たちがそれを否定してはいけないよ」
「そうでも、聞いたことないクッキーさね。不安になるさね」
「美味しいの」
トトトゥーナは主張する。コゼットは折れた。
「分かったさね。そのクッキー作り、あたしも手伝うさね。それでもう考えているさね?」
注目される中トトトゥーナは頷いた。
「貴族に売るのは面倒なの。冒険者は荒くれているの。なら誰に売るのか、それは街の恋人たちと忙しい職人、それから事務官なの。恋人たちには、口の中で消えちゃうよ。よそ見しないで食べてね、と。忙しい職人には、手も汚れないし、仕事の手も止まらない、で、事務官には、脳へ効く甘いお菓子、なの」
カーターとコゼットはそこまでトトトゥーナが考えていることに驚く。
「番さん。そこまで考えてくれているなんて、ありがとうさね」
「私もお礼を言わせて下さい。そこまで考えてらっしゃるだなんて、思いませんでしたよ」
トトトゥーナは胸を張る。
「ボクはこれでも、な、何でもないの」
元女神だと言いそうになって、慌てて誤魔化した。
元女神で今は邪神。
邪神教が出てきたので、邪神になったことは言えない。
言ったらややこしくなる。
「商人ギルドに登録するべきだ」
ムイフレスの主張にカーターも同意する。
「それはした方がいいでしょうね。後々問題にならないようにね」
「やっぱりした方がいいの?」
「ええ。登録すれば特許による摸倣品を防げますし、レシピ使用料があなたに入ります」
トトトゥーナはそう説明されて納得する。
「エルアーノが戻ってくる前に行ってくるの」
「トゥ。俺を見てくれ」
ちゅっちゅっと顔にキスをするムイフレスにトトトゥーナは擽ったそうに笑った。




