第49話
コゼットはトトトゥーナの商売という提案に驚く。
「商売なんてとてもじゃないができないさね」
「卵と砂糖で作るメレンゲクッキーを作るの」
エルアーノは唇を舐め回した。
「デザートか? 新しいデザートか? デザートなんだな?」
「子供たちもできるデザートなの。初期費用はこっちで負担するの」
「私だ! 私に任せろ! それでメレンゲクッキーはどういったものなんだ?」
「食べてみるまで秘密なの」
「必要なものを言え! 私が買ってくる!」
「卵と砂糖なの。それからレモン汁も欲しいの。それからボウルとホイッパーに計量カップに、売るための袋とリボンもなの」
「任せろ! アクセル」
アクセルがエルアーノの裾を掴んで離さない。
「アクセル。少しばかし待ってくれないか?」
「エ、ル」
ステラがアクセルを呼ぶ。
「兄さん。こっちにきて待っていましょう」
アクセルはそっとエルアーノから離れた。
エルアーノは後ろ髪を引かれる思いで買い出しにいった。
子供たちがアクセルに群がる。アクセルはなすがまま。
コゼットが注意しに行く。
トトトゥーナはムイフレスに首をひねる。
「本当にアクセルのことを報告しないの?」
「ステラに事情聴取した際にアクセルのことも調べた。指名手配はされていなかった。なら大丈夫だ。さすがに指名手配されていたらどうすることもできなかったがな」
「ありがとうなの」
「トゥか礼を言うことではない」
「でもありがとうなの」
ムイフレスはトトトゥーナの額にキスをする。
「トゥが礼を言うことではないが、トゥに礼を言われるのは、嬉しいことだな」
溢れるばかりにムイフレスはトトトゥーナにキスを送り、トトトゥーナは照れるよう笑った。
「おやおや。仲がよろしいようで、いいですね」
額の角が折れている男性が孤児院に入ってきた。コゼットと子供たちが男性を出迎えた。
コゼットの頭を撫でて子供たちの頭を一人ずつ撫でていく。
そしてコゼットに革袋を差し出した。
「はい。お金てす」
コゼットは革袋を受け取り、商売について報告した。
「だから院長。角を折らなくていいさね」
「それはそれは。でも大丈夫ですよ。角はまた伸びますからね 。まるでネズミの前歯のように」
「それって笑っていいことさね?」




