第48話
「ステラちゃんどおしたの?」
子供が涙を流すステラに気がついた。
ステラは涙を拭ってにこっと笑う。
「何でもないですよ」
子供もにこっと笑う。
「お兄ちゃん遊んで」
別の子供がアクセルに体当たりする。
それを見ていた別の子供もアクセルに体当たりする。
アクセルはやられっぱなしで、職員が注意するが子供たちは聞いていない。
職員は溜息をつく。
「院長も院長さね。いくら職員が不足しているからって記憶喪失の人を置くだなんてさね。お金だってギリギリなのにさね」
それを聞いたトトトゥーナは職員に質問する。
「お金がないの?」
職員はしまった、と顔をしたが、ええ、と頷いた。
「国からは餓えない程度しか貰えてないさね。だからいつもギリギリで回しているさね」
「職員さんはあなたしかいないの? ボクはトトトゥーナなの」
「ええ、そうさね。あたしはコゼット・グラースさね。給料なんて最低限賃金さね」
「それなのに働いているの?」
「あたしはここで育ったからさね。あたしの名前は院長に付けてもらったのさね。じゃなければ職員になんてなってないさね。子供好きでも夢と現実で辞めちまうさね」
話を聞いていたエルアーノがそれならば、と提案した。
「私が孤児院に寄付しよう」
トトトゥーナはムイフレスを見た。
「ムイも。ムイも寄付するの」
コゼットは喜ばす、難しい顔をする。
「それはありがたい話だけど、ここにだけあまり寄付すると他の所にもと言われてしまうし、その分国からお金も減らされて、税金もその分高くなっちまうんださね」
「そうなの!?」
「貴族が孤児院に寄付するお金が偏らないようにするためとか何とかさね」
「貴族から寄付されているの?」
「それほどじゃないさね。月一回あるかないかぐらいの訪問して子供たちにお菓子をくれるさね。そのときに寄付してくれる感じさね」
コゼットはアクセルに体当たりする子供たちに注意するが、子供たちは笑っているだけで聞かない。
コゼットは溜息をつく。
「自分たちで商売しないの? その分も税金が高くなっちゃうの?」
「いや。自分たちで働いた税金は取られないさね。だけどお金がないから商売なんてとてもとても」
トトトゥーナはにっこりと笑った。
「商売するの」




