第42
「ボク。トトトゥーナなの。もう平気なの」
「わたし、ステラ・フィールドです。うっ」
頭を押さえるステラは、朦朧とする。
「兄さんは? 兄さんを助けて下さいです」
「お兄さん? お兄さんがいるの?」
「名前は、アクセルです。兄さんが、兄さんを、兄さんを助けて下さいです」
ステラは気を失った。
「お兄さんも生贄にされているのかしら?」
「とにかく外に出ようーね」
トトトゥーナはエルアーノを見る。
「運んでほしいの」
番なしはエルアーノだけで、ムイフレスもグレンアーグもステラを運ぶ気がないようである。
そこを分かっているエルアーノは頷き、ステラを横向きにして抱き上げた。
あまりにも軽く、思わずステラを見る。
「戻るぞ」
トトトゥーナを抱き抱えたムイフレスに、エルアーノは返事をした。
洞窟を出ると、待機していたギットレイドたちが気がつく。
「ギットレイド。報告しろ」
「報告する。異常なし」
ギットレイドは答え、エルアーノが横向きに抱いているステラに気がつく。
「フレス。その子は?」
「邪神教に捧げられた生贄だ」
ギットレイドたちは驚く。
「それがレータンが言っていた汚いのだったのね」
ファーリスが木の上で興奮しているレータンたちを見ながら言う。
「おいおい! 何してやがるんだぁ?」
黒ずくめたちを引き連れて、美しい男が現れた。
赤髪に同色の瞳。長い耳を持ち褐色の肌をしている。
赤髪の男は木の上で石や枝などを投げつけているレータンたちに舌打ちすると、レータンに手を伸ばして魔方陣を構成し炎の玉が放たれるとレータンに命中する。
命中したレータンは火達磨になって木の上から落下する。
他のレータンたちは騒ぎ、木を移動していった。
黒ずくめが剣で火達磨になっているレータンを突き刺した。
赤髪の男は鼻で笑い、ムイフレスたちに目をやると、エルアーノに横向きに抱いているステラに目がいった。
「おいおい! 何勝手なことをしてやがるんだぁ! そいつは邪神様の生贄だぞ!」
「お前たちは邪神教の信者か?」
ムイフレスはそこで様子がおかしいエルアーノに目をやる。エルアーノはブルブルと震えている。
「エルアーノ。番だね?」
一番に番だと気がついたグレンアーグが声をかけた。
エルアーノはゴクンと頷いた。




