第41話
奥に進むにつれて、ムイフレスとエルアーノは顔を歪める。トトトゥーナは心配そうに声をかけようとして、糸が張り巡らしているのを目にする。
「ここから先は行かせないぜ」
グレンアーグが糸を張り巡らしていた。
「グレンアーグ!?」
エルアーノにグレンアーグは気がつく。
「何だ。隊長サマたちじゃーなーいーか」
張り巡らしていた糸を手元に戻す。
「お前がどうしてここに!?」
「リディが他の妖精に言われてさーあ。まさかエルアーノたちもくるとはねーえ」
「奥に何があるんだ?」
「見てみたらいいーよ」
ムイフレスとエルアーノは奥に進んだ。
奥にはリデルエリエーゼの背中が見えた。
「何をしているの? 私のお人形さん。誰も入れないでって言ったじゃない」
振り返り、リデルエリエーゼはムイフレスたちを見て目を丸くした。
「まあ。あなたたち。ごきげんよう」
リデルエリエーゼはスカートの裾を軽く持ち上げた。
「ムイ? 下ろしてなの。お願いなの」
トトトゥーナはムイフレスにお願いし下ろしてもらうと、駆けていく。ムイフレスは慌てて追いかける。
トトトゥーナは目にする。
魔方陣の上に泥に覆われた美しい少女が横たわっているのを。
耳が長く緑色の髪が肌が泥に覆われている。
トトトゥーナは眉を下げてリデルエリエーゼを見る。
「これは誰で何なの?」
「邪神の生贄ね」
「邪神? どういうことなの?」
「邪神を復活させて世界を破壊し再生させようとしている邪神教があるのよ」
「その生贄なの?」
「まあ大抵は、憎悪に飲み込まれて邪神のなりそこないに変貌してしまうのだけどね」
トトトゥーナが前に出ると、ムイフレスが腰に手を回して引き止め、リデルエリエーゼもトトトゥーナに注意する。
「泥に触れると憎悪に乗り込まれるわよ」
トトトゥーナはムイフレスに顔を向ける。
「大丈夫なの」
「……分かった。だが手は離さない」
トトトゥーナは頷き、美しい少女に顔を向けた。
「今助けてあげるの」
手を伸ばすトトトゥーナにリデルエリエーゼは目を丸くし、トトトゥーナは泥の中から美しい少女を引きずり出した。
魔方陣は歪み、消えていく。泥も消滅していった。
美しい少女はゴホッと泥を吐き出し、意識を取り戻す。
「だ、れ?」
緑色の瞳がトトトゥーナを捉えた。




