第38話
「今日の訓練は、引き継ぎ森の見守りと、新しく入ってきた二名とのコミュニケーションだ。一応抜けた二名の代わりの構成だ」
グレンアーグとルパートのことを暗に言う。
ムイフレスは、手を上げたギットレイドを見る。
「何だ?」
「危険じゃないかね? まずは訓練所で合わせた方がいいのでは?」
「新人二人がいるかな。訓練になる」
「確かに訓練になると思うが、大丈夫だろうか?」
「今のところ森に異変はない。そこまで心配することはないだろう」
木の上から石が投げつけられた。避けたムイフレスは木の上にいる魔獣に目をやる。
ギットレイドたちは構え、ムイフレスは部下たちに待ったと手で指示を出す。
魔獣は長く粗い体毛に覆われており、オレンジ色をしている。
「あれは何なの?」
ムイフレスに抱き抱えられているトトトゥーナが心配そうにムイフレスに質問した。
ムイフレスは大丈夫だと言うかのようにトトトゥーナの額にキスをする。
「レータンという魔獣で知能が高く意志疎通ができる」
ムイフレスは木の上にいるレータンに顔を向けた。
「何故石を投げる? 我々が何をした?」
「汚いノ。汚いノ。森の中に汚いノを作っタ」
「我々は汚いのを作っていないぞ」
「人族が作っタ。汚いノ」
レータンは石を投げようとしてやめた。
「汚いノ。きれいにするのダ」
長い腕を使って木を移動していった。
「一体何だったんだ?」
エルアーノが呟く。
「隊長、どうします?」
レオンが尋ねる。
「上に報告します? でも信じるかしらね」
ファーリスが大きな胸を揺らしながら悩む。
ムイフレスは大きな胸に目も向けず、少し悩むが、ギットレイドを見た。
「上はいくらレータンだろうと、魔獣の言葉を信じないだろう。それなら訓練を兼ねて確認したいと思うが、どう思う?」
ギットレイドは悩むが、頷いた。
「私もそれがいいと思う。いくらレータンでも魔獣だからねぇ」
「ムイ。何だか怖いの」
不安がるトトトゥーナの額にムイフレスはキスをした。




