第33話
魔方陣を構築して手の中に短剣を握りしめると、ムイフレスに切りかかった。
ムイフレスは紙一重で後ろに下がり回避する。
ルパートは息を荒くし、殴りかかってきたギットレイドに目をやり躱して切りつける。
腕を切りつけられながらも、ギットレイドはルパートの腹に膝を食らわした。
「うえっ」
汚物を吐き出すルパートの首に、ギットレイドは回し蹴りを食らわした。
吹き飛ぶルパートの体は木に激突する。
気を失ったルパートに、ギットレイドは息を吐いた。
「大丈夫なの?」
トトトゥーナが心配して声をかける。ギットレイドは血が流れる腕に手をかざし、魔方陣が構築され傷口が塞がっていく。
「この程度なら私でも回復できるから大丈夫だ」
「ルパートを拘束しろ」
ムイフレスが新人二人に命令する。呆然としていた二人はハッとして、ルパートを拘束する。
ムイフレスは夜の妖精に顔を向けた。
「グレンアーグを返してくれないか?」
夜の妖精はぬいぐるみを消して、息を吐く。
「元々プレゼント用だけど、何故だが自我があって勝手に動くし、いいわよ」
「ちょっと待ってほーしい」
グレンアーグが待ったをかけた。
「俺を捨てるのか?」
「あなたは元々プレゼント用としてお人形にしたのよ」
「プレゼントにしないんだから、最後まで君が面倒を見てくれよ」
エルアーノは悟った。
夜の妖精は、グレンアーグの番だと。
人に興味があるようでなかったグレンアーグが、ここまで興味を持っている。
エルアーノは、嬉しいようで、寂しさを覚えた。
グズン、と泣きそうになるのを誤魔化すように、エルアーノはグレンアーグに抱きついた。
心臓の音が聞こえない。
涙が溢れてくる。
「エルアーノ。泣かなーいで」
「泣いてなんかいない」
パンパンとムイフレスが手を叩いた。
「事情聴取するから二人に同行してもらうぞ」
雰囲気が台無しである。




