第2話
いきなりキスをされ、トトトゥーナは愛おしそうに見つめてくる美しい男性に悲鳴を上げた。
「きゃあああ!!」
涙目になるトトトゥーナに美しい男性は慌てた。その姿がスマートではないことにトトトゥーナは冷静になれた。
「あなた誰なの?」
「すまなかった。つい。番に出会えた嬉しさで我を忘れてしまった」
「番?」
「唯一無二のことだ。半身ともいうが」
トトトゥーナは目を見開き、そして涙を流した。
かつての恋人を思い出し、涙が止まらなくなる。そんなトトトゥーナに美しい男性は慌てて大きな手で涙を拭う。
「こんな俺ですまない」
勘違いする美しい男性にトトトゥーナは首を振る。どんな顔をしていても、美しい。
「ボクは。ボクには恋人がいたの。ボクは女神だったの。でも、裏切られたの。だから、ボクは、ボク。邪神になったの」
トトトゥーナは過去について語った。
美しい男性は黙って聞いていたが、全てを話終えたトトトゥーナに対して愛おしそうに見つめるのは変わらなかった。
「竜人にとって番は唯一無二だ。幸せなら手を引いていただろう。だが、相手が裏切ると知っていれば、俺はどんなことをしても君を手に入れていただろう」
「ボク。怖い。また裏切られるのが」
「すぐに俺を受け入れなくていい」
「本当なの?」
「ああ。まずは名前を教えてくれるだろうか?」
優しく言われ、トトトゥーナは頷く。
「トトトゥーナ。ボクはトトトゥーナなの。あなたは?」
「名前を聞けて幸せだ」
美しい男性はうっとりとする。
「俺はムイフレス。ムイフレス・ベルベルトだ」
「ムイフレス・ベルベルト」
トトトゥーナは無意識にムイフレスの名前を繰り返すのだった。




