第1話
大空だった。
何故、と思う。
それは全知全能の神に別の星に送られたからだ。
トトトゥーナは森が広がっているのを見下ろす。
体が落下していき、トトトゥーナは指を鳴らす。だが何も起きないことに、そこでようやく焦るのだった。
「どうして!? ちょっとカリー様? カリー様!!」
小さな手で指を鳴らしても何も起きないことにトトトゥーナは顔を青ざめる。
外見は八歳ぐらいか。
漆黒の髪に同色の瞳を持つトトトゥーナは、かつて女神だった。
だが恋人に裏切られ、邪神となってしまったのだ。
全知全能の神によって強制的に眠らされて、邪神の力を押さえ込ませることには成功したが、長い眠りから覚めても、恋人のことを忘れることはなかった。
なので全知全能の神が管理している別の星へ送ることを提案され、トトトゥーナは了承したのだ。
その先が、大空という訳である。
「カリー様!! ねえ、カリー様!! きゃあああ──っ!!」
悲鳴を上げるとその声に釣られてか、何処からともなく漆黒の竜が現れた。捻れた立派な二本の角があり、赤くて輝く目がトトトゥーナに向けられている。
トトトゥーナは食べられると目をぎゅっと瞑った。
だが衝撃はこず、優しく抱きしめられた。
驚いて目を開けてみると、竜の姿はなく、代わりに美しい男性がトトトゥーナを抱きしめていた。
漆黒の髪は靡き、赤く輝く瞳は愛おしそうに、トトトゥーナを見つめている。
「え?」
トトトゥーナは気がつく。美しい男性の背中に漆黒の翼があることを。
「え?」
美しい男性の顔が近づいてくる。
「え?」
唇に美しい男性が唇を合わせようとして、ギリギリ頬にされるのだった。




