第28話
「ベルベルト!」
エルアーノがムイフレスに標的を変えた。
「何故番殿も連れてきているんだ!? 番には待ち部屋があるだろうが!」
「今トゥを一人にできない」
「何故だ!?」
「辺境伯の所の女がきている」
エルアーノは言葉を発しようとして息を吸い込んだが、吐いた。
「それはあれだな? 我が儘嬢だな?」
ソフィアのことはエルアーノも知っているようで、腕を組んで納得する。
溜息をつくエルアーノをグレンアーグが宥める。
「まあまあエルアーノ。今日は任務じゃないんだから、そう堅いことを言うなって」
「それもそうだが、だがしかし──」
「そう堅くならないで訓練しよーうね」
飄々と笑うグレンアーグにエルアーノは息を吐いた。
「また訓練だし、そもそも我が儘嬢がきてるなら、番殿を一人にする訳にはいかないしな」
だが、と新人二人を睨みつけ、新人二人は縮こまる。
「訓練だろうが遅刻は許されない」
新人二人は頭を下げる。エルアーノは理由を言え、と睨みつけた。
「辺境伯家のご令嬢にお茶を出すように言われまして……」
困った顔でレオンが言うと、ロズも続いた。
「自分の付き人にならないかと誘われましと言いますか、命令されたと言いますか、それを断りますとヒステリーを起こされまして……」
「そうなんです。その対応で遅れてしまいました」
エルアーノは顔を引きずる。
「我が儘嬢め。何処に行っても我が儘だな」
パンパン、とムイフレスは手を叩いた。
「今日の訓練を始めるぞ」
ルパートが手を上げた。
「集合するように聞きましたが、内容まではまだ聞いてません」
「ああ。まだ言ってなかったからな」
ギットレイドが手を上げる。
「ボス級のギムガントンを討伐したので、その後の生態系についての調査だろうか?」
エルアーノが手を上げる。
「それは調査団である十一、十二班の仕事だが? 知られたら文句を言われないか?」
「ギットレイドの謂う通りだ。エルアーノの意見もその通りだが、だがら訓練なのだ。訓練ならば文句は言えまい。言ったとしても知るか」
ルパートは納得する。
「確かに異分子はボス級でした」
「ある程度の魔獣なーら、隊長サマの魔方陣で一発だーもんねーえ」
ムイフレスはまた手をパンパンと叩くのだった。




